イランでは数日前から、全国的な規模で、政府に対する抗議デモが、始まっている。デモはどうやら、数日以内に治まる気配は無く、イラン政府は否応無しに、対応強化を迫られているようだ。
しかし、もし間違った対応をすれば、それは本格的な反政府デモに変わり、抗議デモは激化する、危険性がある。パーレビ体制が倒されたときも、地方で始まったデモが、全国規模に発展し、ついには体制が、打倒されたのだ。
今回のデモの特徴は、『ロウハーニ大統領を倒せ』と叫ぶとともに、ハメネイ師も独裁者とされ、打倒を叫ばれている。つまり、失業問題や物価高騰、インフレ、政府高官の汚職などよりも、政治的な非難の声が高いのだ。
そこで気になるのは、同時期にイラン全土で始まったデモは、裏で誰かが指揮している、ということの可能性だ。昨日も書いたが、イランの現体制に対しては、アメリカもイスラエルも、サウジアラビアも敵意を抱いている。
つい2週間前には、アメリカとイスラエルが秘密会議を開き、イラン対応を協議している。その理由はイランの核開発であり、シリアやレバノンに対する、ミサイル供与と言われている。
アメリカはイランという中東の大国と、真正面から戦争を、始めるつもりはあるまい。せいぜい、サウジアラビアをそそのかして攻撃させ、仲介に入ってうまみを取る、程度ではないのか。
そう考えると、今回のイランで始まった反政府デモは、アメリカやイスラエルによる工作ではないか、と疑いたくなる。勿論、いまの段階では断定できないが、十分にありうるのではないか。
アメリカにはパーレビ時代の皇室家族や、政府高官が多数居住しており、彼らは新年の集まりで『我々はやがてはイランに戻る。』と言い続けているのだ。そして、イランはペルシャ人だけではなく、クルド人やアラブ人アゼルバイジャン人などを、抱える国であり、民族問題は容易ではない。
外国がイランに手を出そうとすれば、簡単に細胞を作り、活動をさせることが出来る、ということだ。だから、ハメネイ師はあのような強攻策を、内政で取り、外国を支援することによって、国民の不満をごまかして、きているのであろう。
いずれにしろ、イランはこれからますます混乱し、複雑、危険になっていくのではないか。