アメリカのトランプ大統領の言動が、あまりにも国際常識とかけ離れており、反米機運が世界的に広がっている。その際たるものは、エルサレムをイスラエルの首都、と認めたことであろう。
その結果は、世界の90・5パーセントがアメリカに対して、拒否の立場を明らかにした。しかも、それはアメリカが露骨に、『ノーを投じた国には経済援助しない。』と言ったにも関わらずだった。
この国連でのエルサレムをめぐる投票の結果、世界は反米になり、テロリストは勢いを増し、組織に属さないイスラム教徒が、個人的にテロを起こす可能性が、高まっている。
トランプ大統領は愚かであるから、このような言動をしたのか、あるいは彼には他に目的があるのか、ということが気にかかるところだ。トランプ大統領の義理の息子がユダヤ人であるために、こうした決定がなされた。つまり『トランプはイスラエル寄り。』という見方が広がっている。
しかし、どうもそれだけでは、無さそうな気がしている。トランプ大統領はアメリカの国益を最優先した結果、種々の乱暴な決定が、なされているのではないのか。北朝鮮との緊張を煽った結果、日本は莫大な兵器輸入を押し付けられた。それは韓国も然りだ。中国も『北朝鮮をコントロールしろ、さもなくば経済制裁する。』と圧力を掛けられている。
ウクライナでも同じように、アメリカが膨大な量の兵器を、輸出することが決められた。アラブ湾岸諸国、なかでもサウジアラビアやアラブ首長国連邦、カタールもイランとの軍事緊張を口実に、膨大な兵器を買わされている。シリアのクルドに対する兵器供与も、然りであろう。
つまり。トランプ大統領の言う危機の拡大は、実は『アメリカの経済危機の拡大』ではないのか。そのため、トランプ大統領はなりふり構わず、緊張が拡大していると言い、兵器の押し売りを、しているのではないかと思える。彼が言っているように、大量の兵器輸出はアメリカ国内産業を、活性化するであろう。
アメリカの主要産業は、いまとなっては農産品であり、兵器なのだ。勿論、それ以外にもあるが、あまり大きな輸出額にはなっていまい。金融でごまかしをしても、それは焼け石に水であろう。
近い将来、アメリカの『狼が来た作戦』は、結果的に世界から信用されなくなり、多くの友人がアメリカから離れて行こう。現実にアラブ湾岸諸国やエジプトは、既に、ロシアに接近しているのだ。実は日本もそうなのではないか、と思えるふしがある。
ギャンブルと不動産で、大金持ちになった男、トランプ大統領の限界が、見えるような気がする。彼は時間をかけて金儲けをするのではなく、まさに『一発屋』で金を儲ける方式だ。そのためにはなりふり構わない、ということであろう。
他方ロシアのプーチンはアメリカの乱暴なビジネスの後ろで、核施設の輸出や兵器の輸出を進めている。賢いのはプーチンの方ではないのか。
トランプ大統領は『アメリカはこれまでに、7兆ドルもの金を無駄に、外国で使って来た、それを止める。』と言い、今回のエルサレム問題以後、外国援助を大幅に削ることになろう。それが結果的に、アメリカにとって得なのか、その事がドルへの信用を落とすのか、アッラーのみの知るところだ。