シリアへの軍事介入で、ロシアは大きな成果を上げ、結果的に、アメリカが打倒しようと思っていた、シリアのアサド体制を守った。このことは、アラブ世界でロシアに対する評価を、高めたことは述べるまでもなかろう。
『ロシアは信用できる、頼りになる。』とアラブ諸国に思わせたのだ。そして、そのことに加え、ロシア製兵器の評判が上がっている。ロシア的とでも言おうか、堅牢で精度の高い兵器は、押しなべて好評だ。
ロシアはいままでに、T90戦車を百両単位で輸出していたが、今回はイラクに73両のT90戦車を、輸出することが決まったのだ。加えて、エジプト、クウエイト、ベトナムもT90戦車の輸入を、真剣に検討しているといわれている。
イラクの場合は、アメリカ製のM1A1戦車が、IS(ISIL)との戦闘で、簡単に壊れてしまい、評判が良くないのだ。そのことは一瞬のうちに、アラブ諸国に伝わったことであろう。
イラクはT90戦車に合わせ、ロケット弾や対戦車砲、その他の武器も購入予定になっている。
こうなると、アメリカは苦しい状況に、追い込まれることになろう。アメリカが輸出できるものは、農産品と兵器以外には、これといったものが無いからだ。大口の兵器輸入国であるサウジアラビアも、早晩アメリカ製兵器から、ロシア製兵器に、乗り換えることになろう。
アメリカはそうした状況を前に、どうやって自国製兵器の輸出を、維持していくのであろうか。押し売りか脅ししか、方法はあるまい。それはアメリカの国際信用を、大きく損なうことに、なって行こう。
兵器輸出の不振が明らかになれば、ドルの下落もあり得よう。