トルコのヌーレテン防衛大臣は、同国がロシアからS400を受け取った、と発表した。しかも、それはS400の技術面のノウハウも、受け取ったというのだから、どうも信じ難い気がする。
ヌーレテン国防大臣はこの結果、トルコは新たに武器の開発を、進めることができるし、トルコにある材料も生かすことができる、というのだ。トルコが高度な兵器を自主開発し、それを輸出することを、夢見ていたのは、いまに始まったことではない。
トルコはS400に合わせ、すべてのテクノロジーを受け取るために、250億ドル支払ったといわれている。それもまた巨額であろう。その金をトルコがどこから持ち出してくるのか、不思議な気がする。トルコはいま財政難で苦しんでいることは、広く知れ渡っているのだ。
トルコ政府は来年には、他に2機のS400を受け取る、とも語っているが、そのことはEUとの軋轢を、一層増すかもしれない。トルコはオスマン帝国の時代に、ヨーロッパに侵攻しているからだ。また、シリア難民を大量に、ヨーロッパ諸国に送り出したのは、トルコ政府の意図的な行動だったことも、知られている。
NATOのメンバー国でありながら、トルコがロシアの最新兵器である、S400を買い入れることは、NATOの総合的な兵器体系を崩すとして、EUやアメリカからクレームが付いていたが、それは、その兵器が自国に向けられることも、懸念してではないのか。
S400地対空ミサイルは、まさに多目的兵器であり、一度に多数の航空機やミサイルなどを、攻撃する能力がある、と言われている。
欧米にとっての不安は、最近、トルコがロシアやイランに、接近していることにあろう。言わば、NATOの共通の敵国に対して、トルコは微笑外交を始め、あらゆる面で協力し始めているのだ。
これではトルコがある日、突然ロシア側に寝返ることも、ありうるということであろう。アメリカはイランに対して、何とか封じ込め、場合によっては軍事攻撃をかけることも、真剣に考慮しているのだ。
ロシアは言うまでもなく、ヨーロッパ諸国にとっては、永遠の潜在的な敵国であろう。アメリカもしかりだ。それらの国ロシアとイランとの関係を、トルコが推進しようと思うのは、しかるべき明確な目的が、あってのことであろう。
そうしたトルコの二股外交は、アメリカの中東における、最大のパートナーであるサウジアラビアの心も、動かしたようだ。最近、サウジアラビアのサルマン国王がロシアを訪問し、トルコ同様にS400の買い付けに合意している。
ロシアがどこまでトルコと組むのかは、今後のトルコの兵器開発を見ていれば分かるであろう。サウジアラビアもトルコと同様に、兵器の自主開発を考えている。それが進めば、アメリカは自国の巨大な兵器の市場を、失うことになろう。