トルコはここにきて、一度に3つの苦しみに瀕している。この問題は国内問題に、発展していく危険性があるものと、国際問題に発展していく、危険性をはらんだものとがあるのだ。
第一の問題は、トルコの通貨リラの下落問題だ。トルコ・リラは3~4年前までは1ドルに対して、2・9リラ台だったものが、今年の10月ごろから下落が始まり、昨日はついに3・9リラに、達してしまったのだ。それ以前、1月にも瞬間風速的に、3・94リラまで下げたことがある。
トルコ・リラはドルだけではなく、ユーロに対しても下げている。トルコの貿易関係が、ヨーロッパに大きく依存していることを考えると、相当な影響があるものと思われる。ユーロに対していま、1ユーロに対してトルコ・リラは、4・52まで下げている。
こうしたドルやユーロに対して、トルコ・リラが値下がりしたことは、当然のこととして、トルコ国内の金価格にも、影響を与えている。金1グラムの価格はいま、160・4リラに達している。
このトルコ・リラの下落は、トルコの経済を悪化させて、いくものと思われる。そして、それは社会的不安定と、エルドアン体制の弱体化に、つながっていくのではないのか。
第二の問題は、ガソリン価格の高騰だ。トルコは以前から、ガソリン価格が世界の中で最も高い国の一つ、と言われてきていた。日本の価格などはトルコのそれに比べると大幅に安価ということになる。今回の値上がりは10~12パーセントにも達しているのだ。いまトルコでは、1リットルのガソリンが5・65リラ(1・45ドル)なのだ。
デイーゼル・オイルの値下がりが、少しは経済に好影響を、与えるかもしれない。トルコの貿易は陸伝いの国が、相手の場合が多いので、トラック輸送に頼ることになる。従って輸送トラックはほとんど、デイーゼル・オイルを使うからだ。
そして、トルコがいま直面している、第三の問題とは、アメリカとの関係から、生じてきたものだ。以前から、トルコはアメリカに対して『トルコに軍事協力しないのであれば、アメリカ軍がトルコの基地を、使用するのはおかしい、出て行け。』といった発言を繰り返してきていた。
これに対して、アメリカはシリアやイラクに、新たな基地が出来ていることから、何時でも出て行く、と返答してきていた。だが、すでに全てが揃っているトルコの基地の方が、使い勝手がいいことと、トルコの気候がシリアやイラクに比べ穏やかなこと、そして、トルコに対する威圧目的で、アメリカ軍は当分トルコに居残りそうだ。
しかし、ここに来てアメリカは、トルコに置いている核兵器を、撤収すると言い始めている。そのことによって、トルコとトルコの基地の持つ、国際的な価値は大幅に下がろう。核兵器を置いているということは、アメリカとの絶対的な、信頼関係の証であったのだ。それが撤去されれば、トルコは何のすごみも無い、普通の国家になり下がるということだ。