『中東短信』

2017年11月 4日

 

:トルコ・ザッラブ問題

 アメリカのレザ・ザッラブ問題が熱くなってきている。1127日から彼に対する裁判所の対応が始まるが、このレザ・ザッラブ問題には、トルコのエルドアン大統領が深く、関与しているのだ。

 レザ・ザッラブ審理が始まれば、エルドアンの罪状が、明らかになってくるであろう。なぜならば、レザ・ザッラブはエルドアン大統領の利益を、考えて動いていたからだ。エルドアン大統領は『アメリカの陰謀だ。』、と言い出しているが、何の効果もあるまい。

 

:アメリカ高官が秘密裏にシリア訪問

 アメリカの治安担当の高官が、レバノンを経由してシリア領内に入った、とレバノンのアフバール紙が伝えている。このニュースはNYタイムズも報じているのだから、間違いなかろう。

 アメリカ政府はシリアのアサド体制を、打倒すると主張しているなかでの、今回の政府高官のシリア訪問は、何を意味しているのか。シリア側はこのことについて、何の情報も公表していない。シリア側からはどのレベルの人物が、アメリカの高官に対応したのか。

 シリアのアサド体制はロシアの軍事支援で、ほぼIS(ISIL)を制圧し、最後の拠点であったデルズールも、シリア軍がIS(ISIL)から奪還した、と伝えられている。今回のアメリカ高官のシリア訪問は、シリア北部のクルド地帯の将来について、意見交換したのではないか。

 シリアの内紛を最終的に、解決しようというのであれば、IS(ISIL)問題がほぼ片付いたいまは、クルドへの対応が残った問題であろう。クルドに自治を与え、シリアを連合国家にするのか、連邦国家にするのかということだ。

 

:トルコのインフレ

 トルコ政府財務省は10月のトルコのインフレ率は、2・08パーセントだった、と発表している。しかし、今年全体では、トルコのインフレ率は、119パーセントに達している。これは政府の発表数値であり、実際には15パーセントを超えているのではないのか。

 

:イギリスはバルフォア詫びず

 イギリスのバルフォア卿が発表した、バルフォア宣言でパレスチナの土地は、ユダヤ人とパレスチナ人の土地に二分されたのは、およそ100年前の話だ。

 そのバルフォア宣言100周年を機に、パレスチナ人はパレスチナの内外で、バルフォア宣言反対集会を行っている。

 パレスチナのPA(自治政府)は、イギリスに対してバルフォア宣言の、謝罪と撤回を求めていた。だが、イギリス政府はその意向を持っていない。イスラエルのネタニヤフ首相の訪英時に、メイ首相は明確に、この問題に対応しない、と語っている。