トルコのエルドアン大統領は、余程自分のことを、高く評価している、人物のようだ。欧米に対する攻撃的な発言をし、『欧米はトルコにとって必要では無い。』とまで、言い切っているのだ。
そのエルドアン大統領が今度は、サウジアラビアの次期国王である、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子に対する非難を行った。表面上は穏やかな表現ではあるが、中身はムハンマド・ビン・サルマン皇太子の政治手法を、全面否定する内容になっているのだ。
彼は『穏健イスラムと非穏健イスラムという考え方は、西側諸国がイスラムを弱体化するために、用いている言葉だ。』と非難した。述べるまでも無く、それはムハンマド・ビン・サルマン皇太子が『サウジアラビアは穏健なイスラムに回帰する。』という発言をしたことを発端とする、非難の言葉なのだ。
エルドアン大統領は『穏健イスラムと非穏健イスラムといった区分けは無い、イスラムは一つなのだ。そうした言葉を使うことは、イスラムを弱体化させるためのものだ。そして、そのような発言をする者は、イスラムを自分の所有物だ、と考えているのではないか。そんなことは無い、イスラムは彼の所有物ではない。』とも語っている。
サウジアラビアのイスラム教はワハビズムであり、極めて厳格なイスラム法を、施行している。その厳しいワハビズムの思想は、イスラム過激は組織のISやヌルサ、アルカーイダなどによって、受け入れられている考え方だ。
エルドアン大統領は『イスラムを穏健化するというが、サウジアラビアは未だに、女性に車を運転する自由を認めない。これが穏健イスラムなのか?』と問いかけている。
ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、彼の政策に反対する王族の多くを逮捕し、ラジカルな経済改革を、推し進めている。その事はますます、サウジアラビア王家を分裂させ、国家そのものを混乱に、引きずり込むのではないのか。
中東地域最大の経済規模を持つ、サウジアラビアが混乱することになれば、それは周辺諸国ばかりではなく、世界経済全体にも、悪影響を及ぼそう。単純な言い方をすれば、サウジアラビアの石油生産は、どうなるのかということだ。日本にも大きな悪影響が、及ぶ危険性があるのだ。