NO4738 11月8日 『サウジアラビアとイランが軍事緊張』

2017年11月 7日

 中東の大国である、イランとサウジアラビアが、ただならぬ関係に、なってきている。イランとサウジアラビアの、いまの緊張関係は、戦争が起きても不思議がないほどなのだ。

 この両国の緊張がなぜ起こったのかと言えば、レバノンのハリーリ首相の辞任に、端を発している。中東世界ではハリーリ首相の突然の辞任について、サウジアラビアの圧力によるものであった、とする見方が広がっている。

 しかも、問題はその辞任理由は暗殺の脅威であり、誰が暗殺を企てるのかと言えば、レバノンのヘズブラ組織だ。この組織はシーア派であることから、イランの援助を受けてきている、いわばイランのお抱えの戦闘集団、という組織なのだ。

 そうなると誰もが考えるのは、暗殺はヘズブラが行うだろうが、その命令はイランから出ている、ということになるのだ。その結果、サウジアラビアとイランとの関係が、劣悪になったということだ。もちろん、イランはその暗殺計画と何の関係もない、と否定している。

しかし、サウジアラビアはあくまでも、イランの計画だとしている。結果は、サウジアラビアとイランとの関係が、緊張し、両国間では戦争が起きても、不思議は無くなった、ということだ。

 イランはこの事態に対応するために、ハメネイ氏が軍の再編を命令し、陸海軍の指揮官が緊急会議を開いてもいる。また、一部軍高官の交代も行われている。

 こうしたイラン側の動きを警戒し、サウジアラビアのジュベイル外相は、イランを非難しながらも『イランは特攻ボートやミサイルが、イエメンのホウシ派の手の渡り、ホウシ派を使って脅迫しても、地域諸国の邪魔はできない。しかし、サウジアラビアはいかなる代償を払っても、戦争を避けるつもりだ。』と語っている。

 サウジアラビアは大量の最新兵器を、アメリカから輸入してはいるが、基本的な兵士の数では、イランには勝てない。イランの人口は8千万人、サウジアラビアの実質人口は、2千万人を超える程度だからだ。

 しかも、サウジアラビアを支える、石油の施設と油田は、ペルシャ湾に面しており、イラン側が攻撃をしようと思えば、容易にできるということだ。イラン側はスピード・ボートを、大量に製造しており、それが一斉にサウジ攻撃に導入されれば、手の打ちようがあるまい。

 イラン側もそう簡単な状況にはない。もし、イランとサウジが戦争を始めれば、アメリカはイランを攻撃することになろう。そうなればイランの石油施設は、全て破壊されるということを、頭に入れておかなければなるまい。

 サウジアラビアもイランも、虚勢は張ってはいるが、そう容易には戦争を始めるわけにはいかない、ということだ。もし、イランがシリアの戦争と同じレベルで考え、行動を起こせば、相当のしっぺ返しを食らうことになろう。そのシリアでもイランは支援軍であり、戦争をしているわけではない。サウジアラビアとの戦争とは、同一視できないのだ。