これまで、トルコのエルドアン大統領は、アメリカを訪問するたびに、ヘズメトの代表者である、フェトッラー・ギュレン氏の引き渡しを、アメリカ政府に要請してきた。しかし、アメリカ側はフェトッラー・ギュレン氏が、何の法的問題も、起こしていないことから、同氏のトルコ側への引き渡しを、受け入れなかった。
トルコ国民の皆が信じていたのだが、エルドアン大統領はギュレン問題の裏で、もっと彼の将来にかかわる問題を、アメリカ側に要請していたのだ。それは、イラン国籍を持ち、トルコの国籍も有する、レザ・ザッラブ氏の引き渡し問題だった。
これも、アメリカ側は審理中として、受け入れようとしなかった。あるいは、審理中というよりも、アメリカにとってレザ・ザッラブ問題は、トルコに対する決定的な、武器だったからであろう。
アメリカが定めたイランに対する、経済制裁に反して、トルコはイランにドルを供給し、金を売ってきていた。そのおかげで、イランは経済制裁を無効化することができ、対外取引で資金難に、陥ることはなかった。
しかし、レザ・ザッラブ氏が訪米し、マイアミで逮捕された結果、イランとトルコとの間で行われてきた、マネー・ロンダリングや金の密輸の詳細が、アメリカ側に知られるところとなった。
この問題はエルドアン大統領が、直接関与していた、大スキャンダルであり、レザ・ザッラブ氏に対する、裁判が本格化すれば、エルドアン大統領の関与が、明らかになり、逮捕ということもありうるのだ。
そのレザ・ザッラブ氏に対する裁判が、今年11月27日から始まることが、確定している。加えて、もう一人このスキャンダルに関与していた、トルコのザーフェル・チャールヤン元経済相も、裁判にかけられることになる。レザ・ザッラブ氏とトルコのハルク・バンクの副頭取である、アッチラ氏も逮捕されており、彼もニューヨークの留置所に入れられている。二人は頭を並べていま、ニューヨークの留置所に、入れられているということだ。
レザ・ザッラブ氏は元ニューヨーク市長である、ギリアーニ氏を弁護人に立てている。ギリアーニ氏はアメリカ国内で顔が広く、弁護士としての腕を、買って依頼したのであろう。レザ・ザッラブ氏は法取引を、するものと思われる。
この大スキャンダルとの関与問題に、慌てたエルドアン大統領は、これはあくまでも政治的な問題であり、トルコを陥れるためのものだ、と息巻いている。しかし、これまでトルコはイランに対する、経済制裁を実行してこなかったことは、明らかであり、逃れられまい。
どうやら、悪政の限りを尽くしてきた、エルドアン大統領にも最後の時が、近づいているようだ。その時は彼だけではなく、ほとんど家族の全てが、裁判の対象になるのではないのか。