『シリアのISは完全敗北』

2017年11月20日

 シリアのIS(ISIL)は、完全に敗北したようだ。最後の拠点であった、ブカマールが、シリア軍の手によって、解放されたからだ。このブカマールはユーフラテス川の川岸に、位置している場所であり、かつては、イラクとシリアを支配するIS(ISIL)にとっては、重要な拠点となっていたのだ。

 そのブカマールがシリア軍の、支配下になったということは、IS(ISIL)がほぼ完全に敗北した、ということであろう。実は、ブカマールの解放については、政府軍支持のミリシアが解放した、と今月初めの段階で宣言していたが、その後も、スリーパーによって攻撃が、繰り返されていたのだ。

 しかし、今回はそうでもないようだ。最初に逃亡を図ったIS(ISIL)の幹部は、アブ・ハサン・アルイラーキであった。次いでIS(ISIL)の幹部のサッダーム・アルジャマールとアブ・スマイヤ・アルアンサーリが逃れている。ハマに近い二つの村、ハッラーンとハルダナも解放されている。

 イラクのIS(ISIL)がシリアに先駆けて、敗北して時間が過ぎるが、その例からみて、シリアでもIS(ISIL)敗北後には、シリア国内問題が台頭して来よう。クルドの自治権問題はなおさら複雑であろう。シリア政府は自治権を認めても、トルコがすんなりそれを認める、とは思えない。

 それはシリアのクルドが、自治権を持ち力をつけていけば、トルコのPKKと連携することが十分に考えられ、トルコの情勢が不安定化する、ということになるからだ

 中東とはこのように、不安定が続くのが、常態化している、というこであろう。