アメリカとトルコとの関係は、ここに来て最悪の状態に入った、と見ていいのではないか。以前に、アメリカ市民が逮捕され、次いで、イスタンブールのアメリカ領事館のトルコ人スタッフが逮捕され、それに続いて再度、イスタンブールのアメリカ領事館のトルコ人スタッフが、逮捕されたが、彼の妻子も逮捕され、投獄されたようだ。
こうなると、もう人道のレベルなどという、甘いものではあるまい。トルコの刑務所には、600人近い子供たちが投獄されており、産院で赤ちゃんを産んだ母親を、警察が待っていて、出産後投獄ということも、再三伝えられている。
こうした蛮行に対して、アメリカは黙ってはいまい。その現れのひとつとして、アメリカ政府はトルコ人に対する、ビザの発給を停止した。それを受け、トルコ側もアメリカ人には、ビザを発給しない事を、決定している。
このビザの相互発給停止で、被害が大きいのはトルコ側であろうと思われる。このビザの発給停止の後に来るのは、トルコからの輸入制限などではないのか。そうなれば、トルコの経済は現状でも悪いのだが、ますます悪化していく、ということであろう。
もう一つ懸念されることは、トルコ軍がシリアのイドリブに進攻しているが、この戦闘はいままでトルコ軍が戦った、レベルではないほど厳しいものになるだろう、と見られている。その戦いのなかで、アメリカがどう対応するかということだ。
アメリカによるトルコの敵に対する武器の供与、しかも高度な武器の供与もありうるだろうし、トルコ軍に対するアメリカ軍機による、誤爆(?)も、ありえよう。つまり、いまのトルコとアメリカとの関係では、あらゆる最悪の事態が、想定できるということだ。それをエルドアン大統領は、計算に入れているのであろうか。
トルコとアメリカの関係が悪化するなかで、トルコはロシアからS400ミサイルの輸入の交渉を、進めて来ていたが、ここに来て、突然話がキャンセルになりそうな、雰囲気に変わってきているということのようだ。
ロシア側が難癖つけた、あるいはトルコがわが難癖をつけた、ということのようだが、あるいは、アメリカとロシアとの間で、危険なトルコには高度の兵器は輸出しないことにしよう、という話が進んでいるのかもしれない。
一説には、トルコがロシアのS400ミサイルの、サウジアラビアへの輸出の話を聞いて、激怒したからだと言われているが、その話は嘘であろう。