『オスマン帝国は偉大米領事館スタッフも逮捕出来る』

2017年10月 6日

 

 トルコとアメリカとの関係は、最悪の状態にある、と私は見ていたが、まさかここまで悪化しているとは、思いたくなかった。何と、エルドアン大帝の命令で、イスタンブールにあるアメリカ領事館の、現地スタッフが逮捕されたのだ。

 その人物の名は公表されていないが、イニシャルではMTだということだ。彼は104日に逮捕されたようだ。その逮捕の理由は、ギュレン・グループのメンバーとの、電話連絡だったということだ。

 その相手は元検事のザカリヤ・オズ、元刑事のヤクプ・サイユル、ナズミ・アルデチュ、マヘル・チャカル、メフメト・アキフ・ウネルだということだ。

 105日、アメリカ政府はこのトルコ政府よる、蛮行に抗議し、このようなことは何のメリットも、アメリカとトルコとの間に生まない。トルコは法に従って問題を解決すると答えているが、それは信じがたい。といった内容のメッセージを、発している。

 この逮捕の前には、アメリカ市民が逮捕され、投獄されており、アメリカとしては極めて神経質になっている、ということであろう。しかも、トルコ側はアメリカ市民の釈放については、在米のギュレン氏と交換だ、と主張しているのだ。

 これまで、アメリカとトルコは相互に協力して、テロ対応をスムーズに進めてきていた。そのためには、領事館の活動は有益であった、というのがアメリカの認識だ。また、ビジネスの面でも領事館の果たしてきた役割は、大きいとみなしている。

 今回のアメリカ領事館のスタッフ逮捕事件も、ギュレンがらみであることを見ると、エルドアン大統領は何としても、ギュレン氏を取り返し、トルコで裁判にかけたい、と望んでいるのであろう。

 しかし、今回の領事館スタッフの逮捕は、やり過ぎではないか、と思われる。このような行動を、エルドアン大統領が取るのは、自分はネオ・オスマン帝国の皇帝であり、ネオ・オスマン帝国は偉大だ、という妄想の結果であろう。

 加えて、今回の逮捕の裏には、ギュレン氏を捕まえて裁判にかけ、あわよくば処刑したい、と願っているエルゲネコンの意向も、大きく影響しているのであろう。どうやらトルコのエルドアン体制は、終局に向かい始めているようだ。