トルコのリラが大幅安を記録した。これまでトルコ・リラは、ドルに対して3・5~3・6リラあたりを推移していたのだが、ここに来て一気に、3・8リラまで下げた。瞬間では3・84リラを超えていたことも、あったと伝えられている。
先月にはトルコ・リラは、平均3・47リラで推移しており、今月は3・6リラを挟んでの取引がほとんどだっただけに、今回の値下がりは、市場関係者やビジネスマンにとっては、少なからぬショックであろう。
トルコのゼイバク経済相は、デタラメな情報に基づく影響、と語っており、出されている統計資料は、信頼に値しない、とも語っている。しかし、ゼイバク経済相はドイツが活発に、トルコへの投資を阻止する動きに、出ていることを、否定してはいない。
これまでは、ドイツのKfW銀行、欧州再建開発銀行(EBRD)、ヨーロッパ投資銀行がトルコのプロジェクトに、主に資金提供をしていた。例えば、ボスポラス海峡を通る海底トンネル計画が、その主要なものだが、それ以外のアンカラ・イスタンブール高速鉄道計画などが、主な投資先だった。加えて、ヨーロッパからの借り入れ資金は、地震対策にも投資されていた。
経済担当のメフメト・シムシェク副首相は、ヨーロッパからのトルコへの貸付は、2018年には16・5億ユーロとなっている、と語っている。つまり、エルドアン大統領が自信を持って進める、メガ・プロジェクトの資金のほとんどは、外国からの借入金だ、ということだ。
例えば、この形で橋ができると、トルコ政府は毎月一定金額を、ヨーロッパの銀行に返済しなければ、ならないことになっている。その橋の通貨車両の数を、元に毎月の返済額が決められたのだが、トルコ政府は資金を借りるために、実態よりも相当水増しした通過車両の、予測数を銀行側に提示していた。そのため、通過車両の足りない分は、政府の金で穴埋めを、しなければならないのだ。
その額が結構大きいために、トルコ国民の間ではブラック・ジョークが、語られている。つまり、橋をかけたことによって、トルコ政府は明るい未来を期待するのではなく、借金を増やす暗い未来を、作ったということだ。
今年は観光客の数も大幅に減り(テロの悪影響、)農産品の輸出からも、ロシアなどが止めたために、思うような利益を上げられなかった。国内はインフレと失業が眼に見える状況に、なってきている。
こうした状態が長期化すれば、エルドアン人気にも陰りが出てくることは、必定であろう。それにエルドアン大統領は、気が付いているのか、あるいは、メガ・プロジェクトを請け負った企業からの、賄賂を受け取る方が、重要な関心事になっているのか。