アメリカ政府がトルコの6つの銀行に対して、イランに対する経済制裁を破ったとして、罰金を果たす方針だ、とロイターが報じた。
この問題について、トルコのハベル・トルク(トルコ・ニュース社)が報じたが、その内容は厳しいもので、ひとつの銀行に対しては、50億ドルの罰金が果たせられ、他の二行はそれよりも、罰金の額は少ないようだ。しかし、ハベル・トルコはウエッブ・サイトに掲載したこのニュースを、後で抹消している。
しかし、このニュースについて、トルコの政府関係者は全面否定し、『そのような連絡はアメリカから受けていない。』とコメントしている。通常であれば、アメリカ政府がそのような決定を下した場合は、トルコ政府の財務省に、まず連絡があるのが普通だ、ということだ。
他の国の銀行は、既に制裁を受けていることから、イランとのマネー・ロンダリング問題は、真実味を帯びてきそうだ。もちろん、イラン側もこの問題で、制裁の対象になる、ということだ。
エルドアン大統領はアメリカとの交渉のなかで、表面では、ギュレン・グループに対するアメリカの対応を非難し、ギュレン氏をトルコ側に引き渡すように、声高に叫んでいるが、実は裏では、レザ・ザッラブ氏の釈放を、第一に要請している、と言われている。
このレザ・ザッラブ氏はイラン人であるが、エルドアン大統領との特別な関係で、トルコ国籍も持っている人物だ。レザ・ザッラブ氏はイランとトルコとの間で、マネー・ロンダリングを行っていた人物だ。
また彼はエルドアン大統領ばかりではなく、彼の子息ビラールとも、特別な関係にあった、と言われている。イランは彼の活躍で、外貨不足問題から、救われることが、出来ていたのだ。
後には、彼の存在が危険だと判断し、イラン政府とトルコ政府は、彼を暗殺するだろうと言われていた。そのため、レザ・ザッラブ氏は暗殺されることを恐れ、アメリカに渡り、フロリダで逮捕されることとなったが、彼自身が出頭したのだろう、と言われている。
今回のアメリカによる、トルコの複数の銀行に果たせられる、巨額の罰金は、このレザ・ザッラブ氏の証言を元にして、下されたものと思われる。そして、その先にあるのは、エルドアン大統領を含む、エルドアン・ファミリーへの嫌疑であり、逮捕ということになるのではないか。
エルドアン大統領は今回の問題で、トルコとアメリカとの関係が、ビザ問題やボデー・ガードの釈放問題などで、こじれているために、出てきたものだ、と説明している。トルコの財政は現在逼迫しており、もし、アメリカが罰金を果たすことになれば、トルコの財政はますます悪化する、ということになろう。なお、マネー・ロンダリングに関わる賄賂は、エルドアン・ファミリーの懐に入っているのだ。