シリアのIS(ISIL)の首都とされていた、ラッカがSDFの攻撃の前に陥落し、その後、IS(ISIL)の戦闘員は、シリア各地に離散している。ラッカに残った者のほとんどは、殺されたようだ。
しかし、IS(ISIL)の幹部たちは、トルコ領土に逃亡したようだ。シリアのラッカを始め、デルズール、ホムス、北アレッポといった場所から、トルコに逃亡している、ということだ。
IS(ISIL)の幹部たちは、トルコ側に対して、2~3万ドルの現金を渡すことのよって、トルコ領に入れたということだ。その2~3万ドルが一人に付き、なのか、団体に付き、なのかは分からないが、多分一人に付きではないかと思われるが、トルコ側にとっては結構ないい取引であろう。
トルコへの逃亡の際、IS(ISIL)の幹部たちは、アレッポの北に集結し、その後、シリア・トルコ国境地域に移動し、次いでトルコ領土内に、逃れた模様だ。
同じように、シリアの北部のハサカからも、数百人のIS(ISIL)メンバーが、トルコ領内に逃亡している。逃亡者の内訳は外国人、シリア人などさまざまなようだ。
これまでトルコ政府がIS(ISIL)に対して、影で種々の便宜供与をしていたことは、既に多くの人達の、知るところとなっている。トルコ政府はIS(ISIL)に対して、武器を供与し、サウジアラビアやカタールから送られる、資金を手渡し、戦闘員の入国と通過も、黙認してきていたのだ。
また、IS(ISIL)の多くの戦闘による負傷者の治療も、トルコ国内の病院で行われてきているし、その病院はIS(ISIL)のメンバーだけのものであり、その責任者はエルドアン大統領の、娘だということも知られている。
従って、今回のようなIS(ISIL)戦闘員や、幹部のトルコへの逃亡は、黙認されて当然であろうし、あるいはトルコ政府が、後ろでそれを、支えているのかもしれない。
もうひとつは、トルコとシリアとの間には、幾つもの密輸ルートが出来ており、これまで、そのルートを通じて消費物資が、トルコからシリアに送られていた。また、シリアからはトルコに向けて、石油の密輸が行われており、ロシアは数百台のタンク・ローリーの車列を空爆したが、ロシアは攻撃の後、その空爆の写真を、公開してもいる。
このシリアの石油のトルコへの密輸は、エルドアン大統領の子息ビラールがやっていたことも、良く知られている。トルコのエルドアン一家は、IS(ISIL)への支援で、相当の利益を上げていたものと思われる。
それにしても、ラッカの陥落はまさに『地獄の沙汰も金次第』を証明することになったようだ。