IS(ISIL)のイラクのモースル敗北は既に完了したが、IS(ISIL)が彼らのイスラム国家の首都だと語っていた、シリアのラッカの拠点も失いそうだ。既に、敗北の兆候は明確になってきている。
ラッカ作戦はアメリカが立案し、主にクルドのSDFが攻撃に当たっていたが、このSDFの攻撃が効を奏したのであろう。ラッカからの市民の脱出や、IS側の脱出などが、SDFとIS(ISIL)との間で合意され、これまでに何度か実施されたようだ。
そして遂に、SDFはラッカの85パーセントを、解放したと宣言するに至った。それはまんざら嘘ではあるまい。IS(ISIL)はここでも、もう戦闘を継続する能力を失なったようだ。そうなるとIS(ISIL)は今後どうするのか、ということが注目される。
SDFによるラッカ攻略が成功しているのは、一言でアメリカが与えた武器の、種類や量が潤沢だということであろう。もちろん、SDFの戦闘員の戦闘意志と、その能力が高いことも、評価すべきであろう。
以前、シリアのコバネでの戦闘で、クルドのミリシアはIS(ISIL)との戦闘に勝利しており、SDFは主体がクルドであることから、SDFの戦闘員には、IS(ISIL)に対する恐れは、無かったのであろう。
もう一つのポイントは、アメリカがシリアのラッカでは、既にIS(ISIL)を必要としなくなった、ということであろう。そうでなければ、アメリカはIS(ISIL)に対して、空輸で武器を送っているはずだからだ。
アメリカはシリアでもイラクでも、何度もIS(ISIL)側に対して、武器や医薬品その他の物資を、空中から投下して支援していたのだ。
いま、アメリカはIS(ISIL)の戦闘員を、シリアのデルズールやイドリブに集結させ、それをSDFに攻撃させるという、方針なのかも知れない。イドリブには親切にも、トルコ軍が出向いているのだから、戦闘はIS(ISIL)側にとっては、ますます不利なものになる、ということであろう。
もちろん、アメリカはそうしたIS(ISIL)の窮地にあって、幹部と家族だけは救う手立てを、しているのであろう。今後、デルズ-ルやイドリブで、IS(ISIL)が掃討されていくなかでは、アメリカ軍による、IS(ISIL)幹部救出作戦が、ヘリを使って行われた、というニュースが何度か飛び出してこよう。
そのニュースが頻繁になってきたときが、IS(ISIL)のラッカ敗北の、明らかな兆候ではないのか。