NO4712 10月12日 『スパイ合戦はインターネットの時代』

2017年10月12日

NO4712 1012   『スパイ合戦はインターネットの時代』

 世界は相互に敵国の情報をキャッチして、対応をはかるというのが、最近、特に目立って来ている傾向であろう。経済情報、技術情報、治安情報、軍事情報、政治外交情報と、その範囲はきわめて広い。

 ある国が新しい技術を開発すると、その会社の自動車のエンジン部分の技術や、デザインを盗む国もあろう。その事によって、相手国よりも優位に立つことが、出来るのだ。従って、産業分野ではいかに早く、相手の情報を引き出すか、盗むかということが、勝敗を決めるのだ。

 その情報は相手の企業や、国のコンピューター・システムに入り込んで、盗み出すのだ。椅子に座り、コンピューターを見ている何の変哲も無い男が、とんでもないスパイに、なっているのだ。もう007は古いのだ。

 軍事技術も然りであり、相手国の軍の配置なども、分かってしまうし、その国がどの国と、どのような協力関係にあるのかも、分かってしまうのだ。その世界にはプロがおり、彼らはハッカーと呼ばれている。

 世界的に著名なハッカーは、元アメリカ政府のスタッフだった人物で、彼はアメリカ政府の機密書類を、次々と盗み出し、世界に公表した。結果的に、アメリカは極めて難しい状況に、追い込まれることとなった。

 もちろん、アメリカ政府はこの人物の、逮捕を考えたのだが、ロシアやヨーロッパ諸国が彼の利用価値を認め、匿うようになっている。彼の名はスノーデンだ。いまではコンピューターの、ハッカーの世界では、神様並みの高い評価を得ている。

 つい最近起こったことは、イスラエルのハッカーが、ロシアのコンピューターに潜り込み、アメリカに関連した情報を、引き出したことであろう。結果的に、ロシアはアメリカに対する、一定の計画を再構築しなければならなくなっている。それは金額にすると、とんでもない額に、相当するのではないか。

 トルコもやはり同じように、反政府と目される人物たちの、電話を盗聴している。ギュレン・グループのメンバーの電話を盗聴し、会話している双方を逮捕するのだ。もちろん、彼らの間で行われていた銀行送金も、監視下に置かれている。

 このため例えば、日本にいるギュレン・グループのメンバーが、トルコにいる親に電話したくても、出来ないのだ。そうすることは、親を逮捕させることに、繋がるからだ。また東京でお金が儲かっても、トルコにいる家族に送ることも出来ない。

 ギュレン・グループのメンバーの、会社や個人のコンピューターは、世界中でトルコ政府の監視下にあるということであり、ギュレン・グループのメンバーの会社の内情も、全て把握されてしまっている。こうなると小さな不法も、許されなくなるのだ。

 日本でも時折、個人情報がばらされたという話が、マスコミで取り上げられるが、個人の血液型、住所、電話番号、銀行口座、使用メールの内容などは、全て筒抜けだと思った方がいいだろう。つまり、いまの時代は個人の秘密など無いのだ。ましてや国家は。