サウジアラビアに対して、イラクの高官とカタールの元首相が、非難の言葉を向けている。この裏には何があるのであろうか。つい最近、サウジアラビアはイラクとの関係を改善する動きを見せ、外交関係も正常化した、と思っていたのだが。
カタールについては、首相職を辞任した人物の、発言であることから、カタール政府の意向を受けた、発言とは言え無い。しかも、彼はカタールに対する非難の言葉を、サウジアラビアと共に口にしているのだ。
イラクのバドル部隊のハーデイ・アーメル司令官は、イスラム過激主義者の追放が最重要だと語り、サウジアラビアが広範にわたってIS(ISIL)を支援していると語った。カタールもイスラム原理主義の、ムスリム同胞団を支援してきている国だ。
ハーデイ・アーメル司令官の発言によれば、在イラク・イスラム過激派の30パーセントはサウジアラビア国籍だというのだ。サウジアラビアは独特のイデオロギーであるワハビズムを持っており、その影響だということだ。そして、イラク国民は自国を守るために、サウジアラビアのテロ支援を非難する、権利があると語った。
カタールのハマド・ビン・ジャースム元首相は、アメリカの主導の下に、カタールはサウジアラビアやトルコと一緒に、イスラム過激派を支援していると語った。ハマド・ビン・ジャースム元首相は、カタールはトルコやサウジアラビアと一緒に、トルコを経由してシリアのIS(ISIL)に、武器を提供してきていると語っている。
同時にハマド・ビン・ジャースム元首相は『サウジアラビアは現段階になり、アサド体制が続くことを、望んでいる。』とも語った。
このイラクとカタールの要人の発言は、何を意味しているのであろうか。実はこの発言は、サウジアラビアのムハンマド・サルマン皇太子の考えと、一致してはいないか。つまり、ムハンマド・サルマン皇太子が言い始めた、イスラム法改革と連動しているのではないか、ということだ。
ムハンマド・サルマン皇太子は『サウジアラビアはこれから、本来の穏健なイスラムに復帰する。』と語り、暗にワハビー派を非難しているのだ。イラクのハーデイ・アーメル司令官の発言は、まさにワハビズム非難であり、カタールの元首相の発言も、ワハビズムに基づくIS(ISIL)非難を、しているのではないか、ということだ。
こうしたことを推測すると、大きな変化の波が、湾岸諸国、アラブ世界で始まっているのかもしれない、と思えるのだが。