季節外れのような、間抜けな情報が、伝わってきた。それはIS(ISIL)のトップである、アブーバクル。バグダーデイの音声メッセージが、公開されたことだ。この、アブーバクル・バグダーデイの音声メッセージは、テープでIS(ISIL)が運営する、フルカーンを通じて流された。
フルカーンとはアラビア語で、コーランを意味する言葉だが、そのウエッブ・サイトであろう。テープのメッセージは45分という、極めて長いものだったようだ。このメッセージの前に流された、アブーバクル・バグダーデイのメッセージは、去る11月のものだった。
IS(ISIL)は今年の7月に1ヶ月にも及ぶ、イラク軍の攻撃を受け、モースルで敗退した。もちろん、この戦いにはアメリカ軍の支援があった。その後、IS(ISIL)はイラクとシリアの国境沿いの、砂漠の中に逃げ込んだ、と伝えられているが、シリアのイドリブやデルズールにも、流れ込んでいる。
バグダーデイの死については、ロシア軍がラッカ攻撃をした際に、ほぼ確実に死亡したようだ、と発表したのは6月であったが、アメリカはその後、このロシア軍による、アブーバクル・バグダーデイ殺害情報を否定し、まだ生存している確率が高い、と発表している。
それはそうであろう。アメリカにとってIS(ISIL)は、まだ使えるテロ集団であり、アメリカが打倒したいと望んでいる、シリアのアサド大統領にとっては、最大の脅威であろう。従って、そう簡単には、IS(ISIL)のリーダーであるアブーバクル・バグダーデイに、死なれては困るということであろう。
加えて、アメリカ政府はアブーバクル・バグダーデイに懸賞金をかけており、ロシア軍が殺害したのであれば、懸賞金額2500万ドルをロシア軍に支払わなければならない、というジョークになってしまう。
もう一つは、彼らが創り上げた虚像の、アブーバクル・バグダーデイは自分たちの手で始末したい、という気持ちもあるだろう。私に言わせればアブーバクル・バグダーデイは死亡している、と思えるのだが『死せる孔明生ける仲達を走らす。』の類ではないのか、と思えるのだが。