『クルド独立への投票結果と今後』

2017年9月27日

 

 今日は嬉しいニュースが二つあった。それは、イラクのクルド地区で独立への投票が、行われたこと。そしてもうひとつは、サウジアラビアの女性に、運転が認められたことだ。それ以外にもリビア問題が、進展する雰囲気になってきたことも、嬉しいニュースであろう。また、シリア政府が北部のクルド地区の自治を認める交渉に、入ってもいいという意向を、明らかにしたことも、嬉しいニュースであろう。

 さて、イラクのクルドについてはどうかというと、独立へのステップである住民投票が行われて、90パーセント以上が賛成に回ったようだ。一部、トルクメン人やアラブ人の間には、不満はあろうが、現段階ではあまり大きな問題には、なっていない。

 投票前にはキルクークをメインに、異民族間の流血事件が起こるのではないか、と言われていたが、その動きには至っていない。イラク中央政府も現段階では、比較的穏やかな対応をしており、バルザーニクルド自治政府代表と、我慢強い交渉を、していくつもりのようだ。

 他方、トルコはエルドアン大統領が強硬な対応を、口にしており、イラク軍とは両国の国境地域で、合同の軍事演習を行っている。エルドアン大統領はイラクのクルド人は、独立するというのであれば『飢えるか妥協するかのどちらかを選べ。』と語っている。

 しかし、今回のクルドの動きで、トルコはクルド地区の石油を、トルコ経由で輸出させない、と言っているが、それはトルコの首を、絞めることでもある。既にトルコ国内では、石油価格が上がり始めている。

 これまで大量の一般消費物資が、トルコから輸出されていたが、これが止まればクルド側も困るが、トルコの中小企業は相当経営が、苦しくなろう。また、クルド自治区の街づくりを進めてきた、トルコの建設会社も仕事が止まってしまったら、やはり経営が厳しいものになろう。

 こう考えてみると、エルドアン大統領の無慈悲なような強硬発言も、結局のところ脅しでしか、ないのではないか。前にも書いたが、トルコが大赤字の状態で、シリアともイラクとも同時に、戦争をやるとは思えないからだ。

 アメリカも口先ではクルド独立に反対と言っているが、だからといって、トルコに戦争をけし掛ける、とは思えない。イランも政治交渉の余地は残されていよう。結果的に、今度こそクルドは自治から独立に、進めるのかも知れない。

 クルド独立問題は周辺諸国にとっては、頭の痛い問題ではあろうが、このクルド独立は人道上の問題でもあろう。従って、世界の良心は独立賛成に、回るのではないかと思われる。それを軍事力で潰そうとすれば、事態はかえって悪くなるのではないか。