『何故皆が北クルド独立投票に反対なのか』

2017年9月26日

 

 イラクの北部はクルド人が、多数居住する地域だが、そこで925日に、分離独立への賛否を問う、投票が行われた。これは述べるまでも無く、エルビルを首都とするクルド自治政府が、実施したものだ。

 この分離独立への投票が、いま大きな国際問題になっている。クルド地区と隣接するイラン、トルコ、そしてイラク中央政府が反対しており、場合によっては武力衝突も、起こりかねないのだ。

 加えて、シリア政府もこの投票に、反対しているが、シリア自体は同国北部のクルド人が、自治に向かって動いていることに、あまり怒りを感じていないようだ。シリアのクルド人たちは、924日に投票を実施しているのだ。

 アメリカや国連も、今回の投票に反対しているが、それを放置すれば、イラクが分割されるという、懸念からだといわれている。しかし、イランはイラクのクルドは以前から、イスラエルとアメリカに支援され、使役されてきており、クルドの独立に賛成しているのだから、今回の投票に対する反対は、口先だけのことだ、と非難している。

イスラエルはイラクのクルドが、分離独立することに賛成しており、今回の投票運動のなかでは、イスラエル国旗がはためいている。つまり、イスラエルに対する親近感と、感謝が顕れているのだ。

さて、多くの国々が反対する、クルド国家誕生問題だが、何故なのかということを考えてみた。クルド人はイラク、トルコ、イランに主に居住しており、イラクには835万人、トルコには1500万人、そしてイランには660万人が居住している、という報告がある。

クルド人の総人口は2500万人から、3000万人だろうということだが、実際には4000万人程度ではないか、と思われる。それは、30年以上前に出版された本に、そう書いてあったからだ。

イラクのクルドが分離独立することになれば、当然、イランでもトルコでも、分離独立の動きが活発になろうし、大量の石油資源を持つ、北イラクのクルドが独立できれば、これらの分離独立運動のスポンサーになろう。だからエルドアン大統領は、クルドの石油輸出を止めると言い、トルコの首相は戦争も持さず、と激しい発言をしているのだ。

クルド人はトルコやイランイラクだけではなく、グルジア、ロシア、アルメニア、アゼルバイジャン、レバノンにも居住している。つまり、一旦北イラクのクルドが立ち上がれば、多くの国々でクルド問題が燃え上がる、危険性があるということだ。

 ちなみに、日本にもクルド人は住んでおり、彼らは政治亡命という名の、出稼ぎ定住者たちだ。