一時期はホワイト・ハウスがフリー・パスだ、と豪語していたトルコのエルドアン大統領は、今ではアメリカに毛嫌われる存在に、なってしまったのではないか。どうもアメリカのトランプ大統領の、エルドアン大統領に対する対応が、厳しくなってきているような気がする。
アメリカはエルドアン大統領が訪米した折に、彼のボデー・ガードが抗議のデモ隊に暴力を振るい、しかも、アメリカの警官も負傷させたために、10人以上のボデー・ガードが・アメリカの逮捕者リストに載せられて、いまだにトラブっている。
この問題と関連するのであろうか。アメリカはトルコからの航空便のカーゴを、厳重に検査することを決定した。アメリカはトルコからのカーゴに、爆発物などが混入していることを、懸念しているようだ。このことは、アメリカのトルコに対する不信が、相当高まっている、という事であろう。
トルコとイランとの間で進められた、マネー・ロンダリング問題でも、最近になって、トルコ側のイランとの取引のカウンター、パートとなっていた、元閣僚(ザーフェル・チャールヤン経済相)がアメリカによって、逮捕される危険性が増している。
これらの問題について、エルドアン大統領やトルコの閣僚たちは、『アメリカによる政治的な駆け引きだ。』とアメリカを非難しているのだが、そう簡単に済まされる問題では、なさそうだ。
マネー・ロンダリングのイラン側の代表であるザアレブは、アメリカで逮捕されているので、これまで何を話したか分らない。彼は自分の罪を軽減させるために、法取引を行い相当突っ込んだ内容を、話しているものと思われる。
加えて、トルコがロシアから買い付けを進めている、S400ミサイル問題でもトルコは、アメリカやヨーロッパ諸国を、激怒させている。アメリカに言わせれば、ロシアからトルコが、高度な武器を購入することは、NATOの合意違反だというのだ。
確かに、NATOの231号合意に違反しているようだ。こうしたことから、ベン・カルデン下院議員はアメリカの下院外交委員会で、猛烈にトルコを非難し『アメリカの制裁に違反するものだ。』とまくし立てている。彼以外のアメリカの上下議員も、全体的にトルコに厳しい視線を、向けるようになって来ている。
トルコには今のところ、アメリカに対する反撃の口実も、能力も無かろう。ロシアがトルコの側に立って、これらの件でアメリカを非難してくれる、とも思えない。つまり、エルドアン大統領はここに来て、ドイツのメルケル首相とアメリカのトランプ大統領によって、挟み撃ちになる羽目に、陥ったという事であろう。