『ISに捨てられた妻子1400人』

2017年9月11日

 

 イラクのモースルやテルアファルが、IS(ISIL)の支配から解放されたことは、喜ばしいことなのだが、その後に新たな悲劇が、発覚している。テルアファルには1400人の、IS(ISIL)の戦闘員の妻や子供たちが、置き去りにされていたのだ。

 そのほとんどが、外国から連れてこられた人たちであり、ロシア、トルコ、中央アジア、それにヨーロッパからの、未婚女性や妻子もいたということだ。

 ある妻は『主人がトルコに一週間の旅行に行こう、と言うので付いて来たらここだった。』と途方に暮れている。もちろん、彼女は主人がIS(ISIL)に参加するとは、全く思っていなかったわけだ。

 あるフランスから来たという女性は、チェチェン出身のフランス国籍の女性で、彼女は主人がいなくなり、フランスに帰国する手立てもない、と途方に暮れているということだ。

 イラク政府はこうした女性や子供たちを、帰国させようと、出身国の政府や大使館と、連絡を取っているが、なかなか進んでいないようだ。それはIS(ISIL)との関係から、帰国後に彼女たちがテロに、関与するのではないか、という不安が受入国側には、あるからであろう。

 アルジェリア出身のフランス国籍の女性は『私の母は私が何処にいるのか、知らないだろう。』と語っている。ほとんどのIS(ISIL)に参加した、あるいはIS(ISIL)の戦闘員に付いて来た、女性たちの運命は、似たようなものではないのか。家族が知らない状態で、家を飛び出しているのだ。

 以前、若い女性でヨーロッパから単身、IS(ISIL)に向かった、女性たちの後日談が、紹介されたことがあった。彼女たちが語ったIS(ISIL)への参加動機は、一言で言ってしまえば『男らしい男に会いたい、その人のためになるのであれば、自分の全てを捧げる。』というものであった。

 しかし現実に、シリアやイラクの、IS(ISIL)のなかに入ってみると、彼女たちは『モノ』であり『女奴隷』であり『売買される物資』でしかなかったことに、気が付くのだ。

 それで何人もの女性が、IS(ISIL)からの脱出を試みるのだが、再度捕まるか、射殺されている。この話を読んだとき、大きな責任は社会と、男たちにあると感じた。いまの世の中では、男らしい男は毛嫌いされ、中性的な男がまかり通っている。これでは女性たちが、魅力を感じないのも、分からなくも無い。