『エジプトのインフレは異常な動き』

2017年8月18日

 

 エジプトの庶民は毎月上がる、物価値上がりの前に、青息吐息であろう。そうでなくとも、この夏は異常な高温だ。それだけでも大変な生活苦であろう。建物が厚い石やコンクリートの壁で出来ているために、外気が室内を暑くする度合いは、日本とは違うのだが、それでもエアコンが効かないとなると、寝苦しい夜が続くだろう。

 人口が増えそれに伴って、水の使用量が増え、その結果として、カイロの街も湿度が高く、なってきているのだ、私が留学していた40年前とは、自然条件が全く異なっているのだ。

 さて、エジプトの経済状況だが、IMFの厳しい指導があり、エジプト政府はエジプト・ポンドの切り下げを進め、560ポンドだった対ドル・レートが、いまでは160170ポンドにまで下がっている。つまり、エジプト・ポンドの価値は、半分以下になったのだ。

 そのことは、エジプトの諸物価を押し上げ、インフレが恒常的になっている。例えば、6月のインフレ率は298パーセント上がったが、7月には33パーセントに達しているのだ。なかでも、食品の値上がりはひどいようで、年率43パーセントを超えている、ということだ。

 こうしたことから、経済立て直しを、何とか実現しようと、シーシ大統領は必死なのであろう。サウジアラビアとの間で進めた、チラン海峡の2島の、サウジアラビアへの返還も、そうした意図によるものであろうし、いま問題になっているサウジアラビア対カタールの対立で、エジプトが選択したサウジアラビア支持も、それであろう。

 しかし、それだけでは何ともなりそうにない。以前、ある日銀OBから聞いたのだが、IMFの指導に従っていると、経済は破綻するということだ。あるいは、エジプトがいま向かっているのは、経済破綻の方向ではないのか。

 エジプトは結果的に、多くの国家資産を、外国企業に売り出していく、筍生活に入って行くかもしれない。