『政府寄りコラムニスト・アメリカはトルコを攻撃する』

2017年8月15日

 

 トルコ政府寄りというか、エルドアン大統領寄り、と言われている、ユ-スフ・カプラン氏がエニ・シャファク紙で、彼の持論を展開した。その内容は実に驚くべきものであったため、トルコ国民の間で話題になっている。

 そのユースフ・カプラン氏のコラムには、『アメリカがトルコ国内で、内戦を起こすことを、画策している。』というのだ。例えば、アメリカがクルドのYPGに対して、大量の武器を提供していることも、その動きの一部だというのだ。

 アメリカは実際に何百台というトラックで、クルドのYPGに、武器を送っている。それはあくまでも、『ラッカのIS(ISIL)掃討作戦に使うものだ。』とアメリカ側は説明しているが,必ずしもそうではあるまい。

アメリカはラッカ作戦が完了した後に、YPGに供与した武器を回収する、とトルコ側に説明した後で、クルドの戦いはその後も続くため、武器の供与は続けられるし、回収することも無い、と言い直している。

トルコの調べでは、アメリカは909台のトラックに、武器を満載してYPGに送ったということだ。しかし、トルコの側はシリアでの、ユーフラテス作戦との関係で、シリア国内の武器については、トルコとSDFが管理すべきものだ、と主張している。

ここからユースフ・カプラン氏の、持論が出てくるのだが、彼に言わせると『西側諸国はトルコの大国化を恐れており、トルコが西側諸国による中東進出を阻止し、地域の独立を守るつもりでいるからだ。』ということだ。

トルコはこのため、最近では、ロシアや中国との、関係を強化してきている。加えて、ブラジルとの関係も強化され、その関係は今後、ますます強いものになって行くだろう、ということのようだ。

こうした西側諸国のトルコに対する敵対姿勢は、彼らが公開した地図を見れば歴然であり、その地図ではトルコが、二分されているというのだ。『昨年715日に起こったクーデター未遂事件も、この流れの一部だ。』と彼は主張している。

このトルコを二分する地図というのは、多分、もう10年近く前に発表された、地図のことを言っているのであろう。それはアメリカの軍事雑誌に掲載された、ラルフ・ピーター退役中佐の論文で『新中東地図』というタイトルのものだった。

その論文では、確かにトルコは、トルコとクルドの国に二分される、と書かれてあり、そのことをトルコの国際会議で、私が公表しようとしたところ、会議主催者側からやめてくれ、と言われた記憶がある。

しかし、その会議に出席していた、トルコの元大使が私のところに来て、地図を受け取りこれはとんでもないことだ、と帰って行った。そして34日後、トルコの新聞2紙がこの地図を一面トップに掲載し、論評を加えた。

また、その後ローマで開催されたNATO会議で、トルコ代表がこの問題を取り上げ、抗議したと聞いている。確かに強大化するトルコ、エルドアン大統領の傲慢な発言と外交、そしてNATOEUに対する冷たい対応、ロシアや中国への接近は、欧米を震撼させていることであろう。