エジプトの人口が1億人を超えるのはすぐだ、ということを報告したが、その人口に占める若者の割合が、多いことに驚かされる。しかも、その多くは大学を卒業しており、インターネット,携帯電話に通じてるのだから、何かがあれば一気に暴発する、危険性を抱えているのだ。
エジプトの18歳から29歳までの若者人口は、全人口9300万人のうち2170万人に達しており、全人口の23・6パーセントに当たるのだ。
若者が暴発する危険に近づくのは、就職問題であり、結婚問題であろう。それ以外の問題は、それほど危険だとは言えまい。その就職状況については、若者の26・7パーセントが職無しの状態にある。つまり失業者なのだ。
この若者たちの構成割合は、51パーセントが男性、49パーセントが女性だ、ということだ。そして、結婚している男性の割合は、62・6パーセント、女性の既婚者の割合は、83・6パーセントとなっている。
しかし、離婚率は高く、男性の離婚率は23・2パーセント、女性の離婚率は43・6パーセント、と報告されている。女性の離婚率のほうが高いのは、女性の感情爆発が、男性に比べ激しいからであろう。
エジプトの労働人口の、67パーセントが男性、女性は29・4パーセント。職無し男性の割合は21・6パーセント、女性は38・8パーセントが職に就けないでいる。この職にありつけない人達の、37.7パーセントは大学卒なのだ。男性は29・8パーセント、女性は48・4パーセントが、大学を出ても就職できないで、いるということだ。
それでも若者たちは、新しいモノには興味が強く、62パーセントの若者がコンピューターを使い、96・7パーセントが携帯電話を、使っていると報告されている。加えて彼らの61・9パーセントがインターネットを利用し、インターネット利用者のうち、76・8パーセントがフェイス・ブックやツイッターと、繋がっているということだ。
エジプトのアラブの春革命で、若者たちはインターネットやフェイス・ブック、ツイッターを活用して、大衆動員をかけ、革命に成功しているのだ。大学卒、インターネット、ツイッター、フェイス・ブック、そして作戦本部には若い男女が。社会道徳から解き放たれたように、集まってもいた。それが革命のエネルギーに、なっていたのだ。
こうした状態は、極めて危険といえるのではないか。ツイッターやフェイス・ブック、インターネットは、大衆革命だけではなく、IS(ISIL)のような過激な集団へのアクセスを、容易にするということであり、若者たちはそこから、強い影響を受けよう
しかも、彼らは高学歴者であり、政府や社会に対する不満は、強いものと思われる。そこでは自分を正当化するために、イスラムの正義に取り憑かれていく、危険性が高いのだ。
結婚問題も然りであり、性的不満が暴発するエネルギー源の、一つになっている。これは押しなべて、イスラム社会に見られる傾向であろう。それはイスラム社会が、極めて厳しい道徳観によって、規制されているからだ。
かつて大衆の不満を解消するには『スポーツ、シネマ、セックスの自由を認める。』ということが言われたが、イスラム社会ではそうはならないのだ。その分、統治者たちの負担は、大きいということであろう。