今月に入り、IS(ISIL)は不利な状況から、モースルを逃れシリアとの国境地帯に、移動している。そして、そこはアメリカ軍の基地に近い場所だ。シリアのタヌフには、アメリカ軍の空軍基地がある、と言われているが、そうである以上、そこはアメリカにとって、まさに最重要拠点であろう。
このアメリカのタヌフ基地があることにより、IS(ISIL)は自由にシリア領土内に、逃れることが出来るし、トルコにも移動しやすいのだ。アメリカがそのために、タヌフ基地を建設した、とまでは言わないが、アメリカ軍はこの基地を守るという口実で、そこに押しかけてくる敵に対して、反撃できる口実を、得ることが出来るのだ。
8月6日には、イラクのシーア派戦闘集団が、タヌフ基地の方向に進軍しているところを、アメリカ軍機によって空爆され、30人が死亡し85人が負傷している。問題はこのシーア派戦闘集団が、イラク政府と関係の深い、PMU(人民戦闘ユニット)であることだ。
つまり、アメリカ軍は友軍であるべき、イラク軍の傘下にあるPMUを攻撃した、ということであり、そのことはIS(ISIL)とアメリカ軍のタヌフ基地を、守るためであった、ということになるのではないのか。もちろん、アメリカ軍はこの攻撃を、否定している。
IS(ISIL)は同じ時期に、タヌフ近くでイラク軍と、戦闘を展開したと発表している。そして、IS(ISIL)側が敵イラク軍にもたらしたのは、68人の戦死者だということだ。
この二つの戦闘をどう結び付けるべきか、あるいは結び付けるべきでないかは、読者の判断に任せよう。つまり、アメリカ軍によるイラク・シーア派戦闘集団PMUに対する攻撃と、IS(ISIL)によるイラク軍に対する、攻撃との間には、連携があったのか、否かということだ、
何やら勝手な想像を巡らせると、アメリカのウソがどんどん、ばれてきているような気がするのだが、それは私だけの判断であろうか。アメリカ軍のタヌフ基地は、シリア政府の許可なしに、勝手に建設されたものだ、ということを付け加えておこう。