国際的な人権委員会とシリア政府が、ラッカでの白燐弾の使用について、非難している。この白燐弾という爆弾は、恐ろしいもので、攻撃を受けた人たちは、苦しんで死んでいく、というものらしい。簡単に言うと、硫黄を溶かしたものを、人の肌にかけて、じりじりと焼き殺すような、ものではないかと思われる。
さて、どの国がこの白燐弾を、使用したかというと、アメリカ寄りの国は、ロシアが使用したと主張し(例えばトルコなど),ロシア寄りの国は、アメリカの連合軍側が使用した、と主張している。
どちらもある意味では、当然の主張であろう。白燐弾は確か、国際的に使用禁止になっている、爆弾だったと思うが、被害者の数は相当数に上るようだ。
アメリカはラッカ攻撃で、過去1週間の間に65人の市民を、殺害しており、その事も許せることではあるまい、ラッカのIS(ISIL)を攻撃するということは、あらゆる非人道的な戦闘行為を、正当化してしまうようだ。
IS(ISIL)の終焉が、イラクのモースルからも、シリアのラッカからも、聞こえてくるなかで、何故、アメリカは白燐弾を、使用したのであろうか。ロシアがアメリカと一緒に、白燐弾を同時期に使用した、とは思えない。
これは、アメリカ側の攻撃に対する、非難を軽減するために、アメリアの支持国が、米露双方が白燐弾を使用した、ということにしたのではないだろうかと思われるのだが。
シリアのラッカの解放状況については、47パーセントがSDFなどによって、解放されたと伝えられている。その事は、まだ半分以上の地域が、解放されていない、ということだ。
アメリカは戦争の成果を、急いでいるのであろうか。ロシアもそうであろうが、シリアでの戦争の長期化は、結果的に攻撃する側の負担も、大きくなるということだ。その事は、ベトナム戦争におけるアメリカの敗北、アフガン戦争におけるソ連軍の敗北の、前例からも分かろう。
しかし、だからといって、非人道的な武器が使われる、ということは尋常ではあるまい。もちろん、武器は人殺しの道具であり、人道的な武器など、存在しないのだが。いま大事なことは、シリアで非人道的な白燐弾が、アメリカによって、あるいはアメリカとロシアによって、使用されたという事実を、しっかりと認識しておくべきだろう。