いま、トルコは綱渡りをしているような、状態にあるのだろう。一部のアラブの国とは良好な関係を維持しながらも、他方ではそれが原因で、アラブ諸国との関係を、駄目にしている。
確かにカタールとの関係前進で、トルコはカタール向け輸出を、5月には3・65億ドルであったものが、7月になると5・34億ドルに増えている。カタールからのトルコへの輸入も5月には1・96億ドルだったものが、7月には2.37億ドルに増加している。
トルコの貿易大臣はカタールに向けて、食料、衣類、洗剤などあらゆる消費物資を、今後も輸出を増やしていきたいし、その状態を維持していきたい、と語っている。トルコは消費雑貨品の生産では、地域でトップ・レベルであり、それは可能だろうが、空路での輸送は価格を引き上げてしまうため、何とかイラン経由の陸路に、したい、ということであろう。
逆にイランとの関係は改善しており、トルコはカタールへの消費物資の輸出で、イランとの協力を拡大していく方針だ。これまで空路で運んでいたトルコ製品を、陸路で輸送しようと真剣に考え始め、それはイランを経由することになりそうだ。
海路はアラブ4カ国などの反対で、使えない状態になっている。エジプト、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、バハレーンが、カタールを陸上、海上封鎖しているからだ。従って、貨物船を使ってのカタールへの物資の運びこみは、出来ない状態にあるのだ。
トルコが陸路イランの港まで運びたい、という考えをイランはいまのところ、前向きな姿勢を示しているが、実際に大量の農産品などが、トルコから運ばれるようになった場合、イランはそれを許すかどうかは、次の段階の話になろう。
他方、トルコとアラブ首長国連邦との関係は、悪化の一途をたどっているようだ。アラブ首長国連邦のアメリカに駐在する大使が、反トルコ・キャンペーンを、展開している。
アラブ首長国連邦大使は彼のツイッターを使い、反トルコのメールを流しているのだ。曰くエルドアン大統領は軍事クーデターで大統領に就任した、エジプトのシーシ大統領よりも独裁的だということだ。
この大使はアメリカのシンクタンクなどに、数百万ドル規模の援助を送り、反トルコ活動をさせようとしてもいる。また、アメリカのテレビ・プログラムに参加し、大使は『エジプト、サウジアラビア、バハレーンなどと協力して、カタールにもっと世俗的な政権が出来ることを、期待している。』とも発言した。
この意味するところは、カタールの現体制を打倒したい、ということではないのか。以前、他のソースからもカタールの体制は近い将来打倒されるだろう、というものもあったことを考えると、案外地域各国の間では、カタールの王家を打倒しようという考えが、一般的になっているのかもしれない。