『レバノンからシリアに逃亡するISを米機が空爆』

2017年8月31日

 

 レバノンとシリアの国境地帯に集結していた、IS(ISIL)がヘズブラとの交渉で、シリアのイラクに近いデルズールに、移動することが許可された。総勢300人ほどのIS(ISIL)の、戦闘員と彼らの家族が、バスに乗って移動を開始した。

 IS(ISIL)の戦闘員と家族は、これまでレバノンとシリア国境の、カラモウン山に集結していたのだ。

 しかし、このIS(ISIL)のバスによる移動を、阻止しようとして、アメリカ軍機がレバノン・シリア国境の、小さな橋を破壊し、道路も空爆した。アメリカに言わせれば、ヘズブラとは正式な関係を持っておらず、そのヘズブラがIS(ISIL)と交わした、合意には縛られない。

しかも、IS(ISIL)は殲滅すべきテロリスト組織だ、彼らは戦場で殺されるべきだ、ということだ。したがって、バスによる移動時に殺すという事は、アメリカにとっては不本意なのかもしれない。

IS(ISIL)が移動しようとしている、シリアのデルズールは、イラクのユーフラテス川に近い場所であり、IS(ISIL)の戦闘員がここに多数移動することは、イラク軍にとっては、不都合な状況なのだ。

当然のことながら、今回の、ヘズブラとIS(ISIL)との間で交わされた合意に、イラク政府は反対の立場を取っている。イラクではモースルが陥落し、やっとIS(ISIL)の勢力が弱体化した時期でもあり、極めて微妙な状況という事であろう。

デルズ-ルはイラクのアンバル州にある、カーイムに近い場所に、位置しているのだ。今後、イラク軍はこのIS(ISIL)の移動に、どう対応するのか、またシリア軍はどう対応するか、気がかりだ。

シリア政府とヘズブラとの関係が、緊密であることから、シリア軍もそう安易には、動けないのではないか。新たな複雑な状況が、生まれているということか。あるいはアメリカがIS(ISIL)の移動時に、徹底的に殲滅するのか注目に値しよう。