『トルコ・アメリカは敵対関係に変わった』

2017年7月31日

 

 数年前どころか、数か月前までは、トルコとアメリカとの関係は、極めて良好であった。エルドアンはオバマ政権の後半こそ、アメリカとの関係がぎくしゃくしたが、トランプ政権に替わってからは、大幅な関係改善を期待していた。

 しかし、どうも状況はトルコが望むようには、動いていないようだ。アメリカはトルコの立場を無視して、シリアのラッカ作戦を行ったが、そのパートナーはトルコが敵視する、YPG(トルコのPKKと連携しているクルド組織)だった。

 大量の武器がYPGには送り届けられ、トルコの発表ではそのトラックが、800台を超えたということだ。そして今、アメリカはイドリブでの戦闘で、完全にトルコを敵に回すようになったのだ。ペンタゴンはイドリブの反政府グループ掃討、と銘打って、殺人部隊を送り込み始めている。そのペンタゴンが殺戮を予定している敵とは、トルコ軍であり、トルコが支援している、SDF(自由シリア軍)なのだ。

その結果、イドリブはアルカーイダのセイフ・ヘイブンになっている。

 アメリカ政府はこのような展開について、トルコがアメリカの敵に対して、何十トン何百トンという武器を、送り届けた結果であり、多数の戦闘員の自国領土通過を、黙認してきたからだ、ということだ。

 問題はトルコの側からも始まっている。ペリンチェクなるネオ・ナショナリストのリーダーが、トルコの若者に組織を創らせ、反アメリカの活動を強化しているのだ。彼は確かエルゲネコンの有力なメンバーだった、と記憶している。

 しかも、このペリンチェクなる人物は、トルコの情報機関であるMITと深い関係にあり、その上、法曹界とも関係が深くしかも強い、政府の各機関との関係、も広く深い人物なのだ。

 つまり、この段階に入り、トルコのエルドアン大統領は、完全にハンドルを反アメリカ側に切った、ということではないのか。そのことが、彼にとっていい結果を生むか否かは、もう少しすれば明らかになろう。