『プロ・エルドアン新聞メルケルはヒトラーより酷い』

2017年7月26日

エルドアン大統領支持派のトルコのエニ・アキト新聞は、ドイツのメルケル首相を最大限の非難の言葉で、同紙の一面を飾った。曰く『メルケル首相はヒトラーよりも酷い!!』『メルケル政権下のドイツはヒトラー時代より酷い、トルコ政府はしかるべき手を打つべきだ。』といった調子だ。

この一言はドイツ人にとっては、ハンマーで頭を殴られたような気分であろう。

これまでドイツは、ヒトラーとナチの時代を反省し、人道的な政策を行ってきていたからだ。ドイツがシリアなどからの難民を、大量に受け入れてきたのも、その結果だったのだ。

エニ・アキト紙によれば、ドイツがトルコを敵視しているのは、トルコが経済成長しているからであり、それはエルドアン大統領の賢明な、政策によるものだということのようだ。

現在、トルコ政府は多くのドイツ人を逮捕している。例えば、ドイツの人権活動家やジャーナリストがそれだ。ジャーナリストの場合はトルコ・オリジンで、ドイツ国籍を有している人物だ。

エニ・アキト紙はトルコ人が、ドイツで受けている差別について、『医療サービスを受けられない』、『就職の機会がない』、『仕事を首になる』、そして『住宅を借りられない』ということを、挙げている。

しかし、エルドアン大統領の意向に反し、ドイツ政府は7・15クーデターに関係した、トルコの軍人や外交官など多数に対し、政治亡命を許可している。そのことは、ドイツ政府は人道的配慮からだけではなく、トルコ政府に対する圧力をかけることを、考慮してのものであったとも思われる。

さて、エニ・アキト紙のメルケル首相に対する、侮辱的な記事は、今後どこまでドイツとトルコとの関係を、悪化させていくのであろうか。今の段階では、トルコ側がドイツの企業に対し、制裁をかけているが、ドイツ側もトルコ産品に対する、実質的な輸入禁止措置を、取っているようだ。

例外は、トルコ政府がメルセデス・ベンツ社を、制裁対象リストから、外したことであろうが、それはトルコの対外的イメージを損ないたくない、という配慮からであろう。

メルセデス・ベンツの車を、トルコ国内で生産しているということは、トルコの労働者の技術レベルが、高いことを示すわけであり、同時に、トルコが建設する工場は、高性能車両などの生産に合格だということであり、他の外国企業の進出に、プラスに働くからだ。