『エルサレムのアクサ問題世界中に拡大しているが』

2017年7月23日

 

 エルサレムのアクサ問題は、世界中に広まりイスラエルに対する非難が、高まっている。しかし、まだいまのところ、国際介入による具体的な効果は、出ていないようだ。

 トルコのエルドアン大統領は、自分のことをオスマン帝国の皇帝だとでも、思っているのであろうか。イスラエル政府に対して、早急に善処するよう、強い口調で要求している。

だが、イスラエル政府はエルドアン大統領の本音を分かっており、それはイスラム世界に対する、単なるトルコ政府によるリップ・サービスであるとして、あまり深刻には受け止めていないようだ。

エジプトを始めとするアラブ諸国も、トルコと同様にイスラエルを非難し、抗議のメッセージを送ってはいるが、これも実は各国が、それ以上に重要な自国の問題を、抱えていることから、口先だけの介入である、とイスラエルは受け止めているようだ。

それではイスラエルにとって、現在起こっているアクサ問題は、それほど痛みを伴なわないものか、というとそうではない。怒りに燃えるパレスチナ人たちが、激しい反対デモを展開しているだけではなく、イスラエル人に対するテロを、展開し始めているからだ。

パレスチナ人がヨルダン川西岸地区で展開する、デモを取り締まったり、デモ参加者を捜索したり、パレスチナ人の武器の隠匿を摘発するなかで、イスラエル兵がパレスチナ人テロリストに襲われ、犠牲になっているのだ。しかも、その数は日増しに増加している。

その問題の発生地である、エルサレムのアクサ周辺では、パレスチナ人が放った銃弾が、何十人という死傷者をイスラエル人の間に、生み出すようになってきているのだ。

これでは、過去のアラブ・イスラエル戦争並みの、犠牲者が出るのではないかという不安が、イスラエル国民の間に広まっていこう。そうなると、もっと厳しい対応をしろという声が、イスラエル国民の間に高まって行くことになり、イスラエル軍や警察は、取り締まりを強化し、その過程でパレスチナ人に対し、容赦の無い発砲、殴打を繰り返していくいことになろう。

それに対し、パレスチナ人の側も強硬な抵抗を、繰り返して行こうから、場合によっては、全国規模の暴動に発展する、危険性があるということだ。これまでパレスチナ人たちは、イスラエルのパレスチナへの対応に、我慢を重ねてきたが、それはマハムード・アッバース議長の保身が目的であり、パレスチナ人の意向ではなかった。

今回のアクサ問題は、イスラム教の重要な地で、起こった問題であるだけに、パレスチナ人の怒りはひとしおであり、もうマハムード・アッバース議長の命令に、従うとは思えない。彼はパレスチナ人に対して、ブレーキをかける能力を、失うかもしれないという不安が、出てきているということだ。