『サウジアラビア真夏の夜の夢』

2017年7月21日

 

 イスラムの大祭ラマダン開けの、イードルフィトルの少し前には、サウジアラビアの王族たちが、メッカに集まってイードルフィトルの日を待っていた。それが過ぎれば、彼らのほとんど全員が、外国に遊びに出かけるのが慣わしだ。そこでムハンマド・ナーイフ皇太子が、サルマン国王への会見を求めた。

 それがいま大きな問題として表面化してきている。サルマン国王は持病が2005年から出ており、健康状態がよくなかったので、ムハンマド・ナーイフ皇太子との個人的な会見を、望まなかったようだ。

 それでも何とか、少しは会えたのであろうが、彼の携帯電話は治安部によって、取り上げられたというのだ。しかも治安部は、彼に対して国王就任への希望を、断念するよう説得した、とも言われている。

ムハンマド・ナーイフ皇太子は麻薬を常用している、という噂も王族内部では、流れされていた。それは述べるまでも無く、ムハンマド・ナーイフ皇太子の国王就任への道を、閉ざすためのものであろう。

どうもそれには裏があり、ムハンマド・サルマン副皇太子はムハンマド・ナーイフ皇太子を追放して、皇太子の地位に就く動きがあることを、ムハンマド・ナーイフ皇太子は警戒して起こった、出来事だったようだ。

 この出来事は、サウシアラビアの砂漠の夜のクーデター、として報じられているが、もし事実であるとすれば、ムハンマド・ナーイフ皇太子は処刑されるかもしれない。皇太子は57歳、副皇太子は31歳、とても20歳以上年下の王子が、国王に就任することは許せない、ということが原因なのかもしれない。

 問題はムハンマド・サルマン副皇太子は、アメリカがバック・アップしているようであり、アメリカがどう対応するかが、大きなポイントになりそうだ。アメリカの中東戦略に、ムハンマド・サルマン副皇太子はイエスマンとして、活動しているからなのだ。

 サルマン国王はムハンマド・サルマン副皇太子が、可愛くてしょうがないのであろう。彼の存命のうちに、副皇太子から皇太子に昇格し、政敵のムハンマド・ナーイフ皇太子を失脚させるか処刑して、確固たる状態を作りたい、ということであろうか。

 ただ、サウジアラビアの王族内では、国王就任の序列が決まっていたこと、長幼の序があることなどから考えて、ムハンマド・サルマン副皇太子を始めから、皇太子に就任させることは、サルマン国王も出来なかったのであろう。

 そこで今回のような、事件をでっち上げて、ムハンマド・ナーイフ皇太子を失脚させて、ムハンマド・サルマン副皇太子を昇格させる、気なのかもしれない。どのような結果が出るか分からないが、これはまさに真『夏の夜の夢』であろうか。