『エルサレム・アクサ・モスクの閉鎖は世界へ』

2017年7月16日

 

 エルサレムで起こった、パレスチナ人の若者による、イスラエル警察殺害事件は、イスラエルにとって大きな問題となった。複数の警官が銃で撃たれて死亡したのだから、イスラエルにしてみれば戦争に並ぶ、被害であったということだ。

 このため、ネタニヤフ首相も犠牲者の墓参に出かけている。ただその事は、パレスチナ側も同様であろうが、パレスチナ人テロリストの遺体は、パレスチナに返還され、遺族に引き渡されたのであろうか。イスラム教徒の場合、死亡したその日に埋葬するのがルールとなっているが、あるいは遺体は返却されておらず、埋葬は遅れている可能性があろう。

 このテロ事件は大きな問題となり、以後、イスラエル政府はエルサレムのアクサ・モスクなどのある地域への、立ち入りを禁止している。つまり、パレスチナ人ムスリムはアクサ・モスクや岩のドーム・モスクでの、礼拝が不可能になったということだ。

 このことは、アラブ世界全体に伝えられ、大きな反響を呼んでいる。イスラム教の三大聖地であるエルサレムの、しかもアクサ・モスクでの礼拝が禁じられる、ということは、許せないことだからだ。

 アラブ諸国ばかりではなく、トルコのエルドアン大統領も、イスラエル政府による、アクサ・モスク地域への立ち入り禁止決定に、怒りを顕わにし、『即時アクサを解放しろ』と叫んでいる。

 同様に、イランも世界中のムスリムが激怒している、と伝えている。それは国内のムスリムに、向けたものでもあろうから、近くイランでは反イスラエルの、大規模なデモが行われる、ということであろう。

アクサ・モスク閉鎖の問題は、アラブやトルコ、イランばかりではなく、時間の経過と共に、他のイスラム諸国にも伝わり、それが大きな反イスラエルの波を、世界的な規模で起こしていく、危険性があろう。

 そして、その事はIS(ISIL)などのような、イスラム原理主義組織にはプラスに働き、新たな戦闘への参加者が、イスラム原理主義組織に集まり、テロが増えるということになろう。

こうした情況の推移の中では、ユダヤ人は世界の何処に行っても、これまでにも増して、危険を意識しなければならないため、観光で楽しむようなわけには、いかなくなるだろう。

 エジプト駐在のイスラエル大使が、カイロに着任したが、彼に対する警備は、異常なほど厳重だった、と伝えられている。それは、エジプト政府側にすれば、当然の措置であったろう。

そして、そのような対応はエジプトだけではなく、他の国々でも採られるということになろう。また、それが新たなイスラエルに対する反発を、各国の庶民の間に、生み出す危険があろう。