『トルコ二つの極めて危険な兆候』

2017年7月 7日

 

 トルコはここ数日以内に、血の海に埋もれるかもしれない。それほど危険な兆候が、トルコでは見えているのだ。第一の危険は、野党CHPが公正の行進と名打って、首都のアンアカラ市からイスタンブール市までの、政府に対する抗議の行進を始め、その一行が79日にはイスタンブールに到着し、午後5時からイスタンブールの中心地の、マルテペ地区で集まることになったのだ。

 マルテペの集合場所には、CHPの呼びかけに応じて、11000の社会組織団体、貿易協会、政治政党、などが参加するようだ。主催者側のCHPはこの集会には、150万人が参加するだろう、と読んでいる。

 21日間の行進に、老年のCHP党首クルチダウール氏は、最初から最後まで歩き続けて、多くの国民の間に感動を呼んでいる。この公正の行進は、CHPの副代表であるエニス・ベルベロール氏が逮捕され、25年の判決を受けたことに対する、抗議が始まりだったが、この段階に入ると、与党AKPの政策に対する、全面的な反対行動になったのではないか、と思われる。

 エルドアン大統領は、公正の行進が始まった段階から、この更新を非合法だとして、あらゆる対応を行うつもりでいる。一番ありうる対応は、警察に非合法集会だとして弾圧させ、そこでは警察が参加者に、実弾を発砲することも、起こり得よう。

 政府は参加者のなかに、テロリストをもぐりこませ、数発の銃弾を発射させれば、警察側の報復ということになり、正当性を主張することが出来よう。あるいは器物損壊でも、同じ手法は取れよう。

 

 第二の危険な兆候は、トルコ軍とシリアのSDF(YPG=クルド・ミリシア) との間で起こりそうな、武力衝突だ。この武力衝突はシリアのアレッポで、起こるだろうと言われているが、トルコ軍は自国領土に近い、シリア北部にSDFの部隊を、置くことを警戒しており、何時でも戦闘行動に、入れる体制だ。

 これに対して、SDF(YPG)側も反撃の準備は、出来ていると語っている。SDF(YPG)側はアメリカから、ラッカ作戦参加を口実に、大量の重火器を送られ、装備は相当充実したようだ。

 アレッポに次いで、ラッカ作戦が終われば、ラッカでもトルコ軍とSDF(YPG)の戦闘が、始まるかもしれない。その可能性は極めて高いのではないか、と思われる。果たして、この二つの危機にエルドアン大統領は、実力を発揮できるのであろうか。