『下手な喧嘩を始めたサウジアラビアとカタール』

2017年7月 6日

 

 若いサウジアラビアの・ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の・判断ミスであろうか。あるいは・アメリカのそそのかしに、乗せられてしまったのであろうか。いまサウジアラビアとカタールとは、犬猿の仲を通り過ぎ、武力行使しか道が残されない状態に、追い込まれている。

 もちろん、武力行使という段階に、進むとは思えないが、であるからこそ、妥協の道が開けなくなっているのだ。サウジアラビアなど4か国はカタールに対して、アルジャズイーラ・テレビ局の閉鎖、トルコ軍基地の閉鎖、イランとの関係断絶、ムスリム同胞団との関係断絶といった要求を、突き付けている。

カタール側はこれらの要求に対し、国家の威信にかかわるとして、全面的に受け入れを拒否しており、サウジアラビアと4か国との間に、妥協の余地は無い。

結局、サウジアラビアなど4か国側は、今後もカタールに対する、制裁を継続することになるのだが、そのリスクはサウジアラビアなど4か国にとって、決して少なくないだろう。金融面での断交が、一番痛いかもしれない。

カタールの側も同じように、リスクを背負うことになるが、何とも仕様があるまい。結局、カタールとの空路は閉鎖され、海路も陸路も閉鎖されたままとなろう。そのことは、モノと人との交流が断たれるということであり、経済全体に悪影響が、出るということだ。

アメリカはいまのところ、中立的な立場に立ち、交渉しろというだけで、特別な関与はしていない。そのうち動き出すのか、当分サウジアラビアと4か国の側と、カタールとの対立を、静観するのかまだ分からない。

ただ言えることは、世界全体にとっては、この問題で特別深刻な影響が、生じるわけではなかろう。カタールも同国に駐留するアメリカ軍に対して、サウジアラビアを攻撃してくれ、とは言い出すまい。

サウジアラビア側も、ムハンマド皇太子が血走れば別だが、現状維持ということではないのか。そうであるとすれば湾岸諸国の間に、不愉快な雰囲気が、当分続くということであろう。