アブーバクル・バグダーデイが死亡し、IS(ISIL)はイラクのモースルでの戦いに敗れた。イラクのアバデイ首相はモースルに出向き、この歴史的な勝利を祝ったと報じられている。
もちろん、全てのIS(ISIL)の戦闘員が、モースルの戦闘に参加していたわけではないのだから、いまだにモースル以外の街には、しかるべき数のIS(ISIL)戦闘員が残存しており、今後も戦闘は続けられる、ということだ。
そのため、アメリカの軍幹部はIS(ISIL)との戦いは、今後も継続される、と判断している。そのIS(ISIL)の残党たちは、これからどう動くのかということが、新たな話題となって来ている。
これまでに相当数のIS(ISIL)メンバーが、アフガニスタンや北アフリカに移動した、という情報がある。北アフリカというのは、リビアでありチュニジアであり、モロッコなどのことを指している。
IS(ISIL)はリビアでは、シルテの攻防戦で敗れたが、南部などに分散し、未だに残っている。また、多くのリビア人がIS(ISIL)の戦闘員として、戦闘に参加してきていた。
リビアの東部にあるデルナなどは、その戦闘員の訓練所としても、知られてきていたのだ。この国はIS(ISIL)がこれから、アフリカ中央部に展開していくための、拠点としての価値が高いのだ。
チュニジアはこれまで、最も多くの戦闘員を、IS(ISIL)に送り出していた国であり、彼らが帰国し、そこで新たに戦闘を開始するのは、当然のことであろう。モロッコもしかりであり、この国もIS(ISIL)への参加戦闘員の、リクルートの拠点として、知られてきていた。
つまり、これらの北アフリカの国では、今後IS(ISIL)の動きが、活発になる危険性がある、ということだ。もちろん、これらの国々は、その対応を忘れているわけではない。リビアについては、エジプトが本腰を入れて、対応するつもりだし、チュニジアやモロッコには、ヨーロッパが手を貸すであろうことが、予想される。既にフランスは旧宗主国として、チュニジア・モロッコで、その動きを始めている。
アフガニスタンについては、いまのところ目立った、外国からの支援はなさそうだ。アメリカが唯一それを実施するであろうが、アメリカはアフガニスタン政府からは、全く信用されておらず、かえってIS(ISIL)を支援している、とさえ思われている。これではアメリカとアフガニスタンとの、IS(ISIL)対応の協力行動は、成功するまい。
既に始まっているが、IS(ISIL)はヨーロッパにも、戦闘員が帰国して行こう。その数は今後、ますます増えていくものと思われる。彼らがヨーロッパに帰って行くことは、ヨーロッパ諸国にとって、極めて危険な状態を、生み出すということであろう。
ヨーロッパは国境検閲が無いために、IS(ISIL)の戦闘員や武器、資金、情報が容易にヨーロッパ全域を行き交うからだ。イラクのモースルの陥落、シリアのラッカでのIS(ISIL)の敗北が近いということは、IS(ISIL)の危険性が今後、北アフリカ、アフガニスタン、ヨーロッパに広がって行くようになった、という事であろう。
そして東南アジアもしかりだ。フィリピン、インドネシアでは既にIS(ISIL)のシンパやmIS(ISIL)の戦闘員が活発に動き出している。それがいまでは中国の新疆地区でも、始まったようだ。日本にもIS(ISIL)禍が、襲って来るのであろうか。