『ISの敗北は危険を周辺諸国にばら撒く』

2017年7月 8日

 

IS(ISIL)がシリアでもイラクでも、相当追い込まれており、シリアのラッカもイラクのモースルも、IS(ISIL)の敗北は明らかなようだ。イラクのアバデイ首相などは、既に勝利宣言をしているほどだから、確かに形成はIS(ISIL)にとって、全く希望が無いということであろうか。*

しかし、それはIS(ISIL)の戦闘員が、全員死亡したということではないわけであり、彼らの一部はラッカやモースルから、他の場所に逃亡しているということだ。そして、そこで新たな戦いが、始まるということであろう。*

実際に、ここに来て目立つのは、イラン政府がイランの南西部アフワーズ(ホウザとも呼ばれる、イラクとの国境に近い地域)で、IS(ISIL)によるテロが起こっていることを、伝えていることだ。しかも、それは数十人規模で殺害した、あるいは逮捕したというものであり、数人規模ではない。

エジプトのシナイ北部では、パレスチナとの境界のゲートの街,ラファの支配をめぐってであろうか。IS(ISIL)とエジプト軍の、武力衝突が頻発している。つい数日前には、エジプトの将兵26人が、IS(ISIL)によって殺害され、IS(ISIL)側にも、40人の犠牲が出ている。*

日本ではほとんど報じられていないが、北アフリカのアルジェリアでも、リビアとの国境に近い南東部での、IS(ISIL)との戦闘が報告されているが、これも決して小規模なものではない。

加えて、IS(ISIL)の擁護者であったトルコでも、IS(ISIL)が国内で増えてきた不安からであろうか。IS(ISIL)狩りが行われており、イスタンブールでは20人のIS(ISIL)が、逮捕されたという報道があった。*

エルドアン大統領はIS(ISIL)の危険性についてG20で語ったが、あまリ相手にされていないようだ。それは、これまでのトルコのIS(ISIL)支援の役割を、欧米諸国は熟知しているからであろう。*

そして、いまサウジアラビアを中心に、アラブ首長国連邦やバハレーン、そしてエジプトがカタールを締め付けている裏には、IS(ISIL)の危険が拡大しているからかもしれない。

加えて、東南アジアでもIS(ISIL)シンパや、IS(ISIL)のメンバーによるテロが、起こり始めている、なかでも、インドネシアとフィリピンは、危険な状態にまで発展している。

東南アジアの場合には、主に現地人のIS(ISIL)シンパによる、テロが起こっているようだが、彼らのなかには、シリアやイラクで戦闘経験を積んできた者が、少なくなかろう。加えて、中国北西部新彊の近くで、ガス・パイプラインが破壊される、というテロが起こっているが、これもIS(ISIL)が関連しているのであろうか。真相はまだ不明だが。

シリアのラッカとイラクのモースルでの、IS(ISIL)の敗北は、危険を世界中に拡散させた、ということではないのか。