『トルコ野党CHPの行進は流血に至るか』

2017年7月 2日

 

 トルコの最大野党CHPは、首都のアンカラ市から、イスタンブール市までの450キロを、歩いて行進するという、抵抗活動を始めた。その行進する抗議集団が、ほぼイスタンブール市に近づいているが、これから何が起こるのかが懸念される。

 このCHPが始めた公正のための行進は、党首クルチダウール氏が呼びかけて、始まったものであり、その理由はCHPのイスタンブール副代表が、テロの嫌疑で25年の刑に処せられたことに対して、抗議するものだ。

 トルコ政府はこの公正の行進については、テロを擁護するものであり、テロ行為だとみなしている。その事は、行進に参加した者たちは、皆テロリストだという判断に、立っているということであり、CHPのクルチダウール党首も、その例外ではあるまい。

 そうだとすれば、公正の行進に参加している人たちは、行進の途上でか、何処かの地点でか、皆逮捕されるか攻撃を受ける、ということであろう。公正の行進参加者を、テロリストとみなすということは、彼らに銃を向け、射殺することも問題ではない、と政府は強弁する可能性があろう。

 問題はこの公正の行進なるデモ行進が、イスタンブールに差し掛かり、一部は既に到着しているのだが、何と参加者が2万人を越えるに、至っているのだ。その2万人がイスタンブール市に入る段階では、もっと参加人数が増えることが、予測される。

 イスタンブール市に至って、この公正の行進に参加する人達のほとんどは、興味本位であり、エルドアン大統領に反対する、と考えているかどうかは疑問なのだが、2万人を超える数になるということは、それだけで与党AKPには、大きな政治的なプレッシャーに、なるということだ。

 そして懸念されるのは、この公正の行進の一団とは別に、他のグループがイスタンブール市内で、公正の行進の一団を待ち受けていて、参加するのではないか、ということだ。

 首都のアンカラからいスタンブール市までの、450キロを歩く気のない人達でも、イスタンブール市内で行進に、参加する気のある人たちは、少なくあるまい。それが一体となれば、たちまちにして行進参加者の数は、5万人10万人規模まで、膨れ上がるかもしれない。

そうなれば、もうブレーキは利かなくなるのではないか。デモ参加者はあらゆる物を破壊し、反エルドアンを叫び、警察側は催涙弾だけでは静止できなくなり、実弾を発射するかもしれない。

 CHPのクルチダウール党首と幹部が賢ければ、今回の公正の行進の最後の段階で、庶民による革命に点火することが、出来るかもしれない。もしそれが出来なければ、CHPは敗北し支持者を失っていこう。まさに、CHPにとっても、AKPにとっても、天王山の戦いではないのか。