トルコのエルドアン大統領は、アメリカによるラッカ作戦をめぐる、YPG(クルド・ミリシア)への武器供与に、相当腹を立てているようだ。彼はイスラムのラマダン明けの礼拝の場で、アメリカを激しく非難している。
曰く『我々はNATOで共にあるはずだ。我々の友人はそれにもかかわらず、テロリストと共にある。これは一体どういう意味なのか。これではNATOの合意は、覆されなければならない、ということになる。』
確かに彼の言う通りであろう。一方ではNATOの同盟国同士であるはずのアメリカが、NATOの同盟国仲間のトルコの敵であるYPG(クルド・ミリシア)に、武器を供与しているのだ。しかも、その武器はやがては、トルコに向けられるものなのだ。
アメリカは『小火器の供与に過ぎない。』と言っているが、それは嘘であろう。これからラッカのIS陣地を陥落させる、戦争をしようとするとき、盟友であるYPGに与える火器が少なく、簡単なものであるはずがない。
トルコはアメリカアがYPG(クルド・ミリシア)に、武器を供与すると発表した段階から、激しくアメリカに抗議して、それを阻止しようとしたのだが、アメリカはまさに聞く耳を持たない、という対応ぶりだった。
エルドアン大統領はこのことについて『トルコの同盟国だと言っているアメリカ、トルコの友人とみなしているアメリカは、トルコの敵を支援し、トルコの分裂を図っているのだ。アメリカは作戦が終了したら、YPGから武器を回収すると言い、トルコをバカにしている。それはとんでもないミスであることに、だんだん気が付くであろう。しかし、その時はもはや手をくれなのだ。』
エルドアン大統領はアメリカが彼の仇敵である、ギュレン氏を引き渡さないことにも、腹を立てている。エルドアン大統領は『アメリカにはテロリストとの協力で、どんな未来が待っていると思っているのか。我々との未来は無いことを知るべきだ。アメリカは気が付くべきだ。あなたたちの対応がいかに、トルコ人の心を傷つけたのか。』
そしてアメリカの中東における最大の盟友サウジアラビアについても、非難の矛先を向けている『カタールに対するサウジアラビアの対応は国際法に違反するものだ。我々はカタールを支持する。』と語っている。
カタールに対して、サウジアラビアが付きつけている要求は、アルジャズイーラ・テレビ局の閉鎖、イランとの外交関係の再考(中止)、カタールにあるトルコ軍基地の閉鎖と、軍事協力の中止、といったものであり、トルコにとっては直接的な利害の、絡むものとなっている。
エルドアン大統領のカタールに対する非難も、実はアメリカとの関連でのものであろう。アメリカはカタールに地域で最大の巨大な軍事基地を、持っているからだ。