『Y・カルダーウイはテロリスト』

2017年6月 9日

 

 エジプト出身の、ユーセフ・カルダーウイという、世界的に有名なイスラム学者がいる。彼はカタールにだいぶ前に亡命し、既にカタールの国籍も得ているはずだ。

 彼が世界的に有名になったのは、確か911事件の後だったと思う。カタールのアルジャズイーラ・テレビはこの時ばかりと、彼をテレビ画面に引き出し、語らせたのだ。

 しかし、私の記憶ではユーセフ・カルダーウイは、何も真実に迫る内容の話をせず、アメリカに都合のいい発言を、していたと記憶する。それは好意的に判断すれば、彼が現実社会で起こっていることに、無頓着であったためかもしれない。あるいは、身を寄せている先のカタール政府に、配慮した結果だったのか、いずれであるかは判断できない。

 いずれにせよ、口の達者な似非学者というのが、その時私が彼に下した、評価だった。

 サウジアラビアとカタールとの間で、今回起こったトラブルでは、多くのムスリム同胞団員が、危険人物としてリスト・アップされ、彼らはサウジアラビア、アラブ首長国連邦、エジプト、バハレーンなどが受け入れを拒否した。

 そのリストに掲載された、ムスリム同胞団のメンバーの数は59人で、大分幹部の地位にいる人たちであろう。もちろん、その59人のなかには、ユーセフ・カルダーウイも含まれている。

 ユーセフ・カルダーウイは世界イスラム学者協会の、会長を務めており、イスラム学の権威の一人であることは、間違いない。しかし、そのことがイコール立派な人格者、とはならないところに、問題がある。

 彼はカタールという国の、手厚い保護下に暮し、諸外国で活動するムスリム同胞団員に、危険な活動を強いているのだ。エジプトでは、多くのムスリム同胞団員が、刑務所に収監されて、既に3年以上の歳月が、過ぎ去っている。エジプトのムスリム同胞団のトップだった、ムハンマド。バデーウも刑務所に、入れられているのだ。

 今回のユーセフ・カルダーウイに対する、テロリスト判断は彼の外国での活動を、ほぼ不可能にしようが、それは彼にとっては、何の苦痛でもあるまい。ムスリム同胞団の考えでは、彼らが居住するところが、故郷なのだ。土地はアッラーに帰属するものだ、という発想があるからであり、それは共産党の考えに類似している。

 それでも、ユーセフ・カルダーウイにとっては、今回の決定が故郷エジプトに、帰ることが出来なくなった、ということであり、ある程度は応えているかもしれない。そうした人間的な感情が、彼に残っていることを期待したい。

学者とはある意味で、異常人格者であり、自分の考えにそぐわないものは、全て否定し、かたくなに自分の考えを、守る傾向がある。彼ユーセフ・カルダーウイもその一人であろう。