サウジアビアが事の起こりの始まりだった。カタールはテロを支援し、イランとの関係を促進している、カタールのアルジャズイーラ・テレビの報道は、正しくなく、アラブの春革命を煽った、トルコ軍との協力を進めている、といったクレームを、カタールにつけたのだ。
このサウジアラビア側のクレームは、クレームに留まらず、サウジアラビアの友好諸国を巻き込み、一大グループを形成し、カタールに圧力を掛けている。
これに対し、カタール側はイラン、トルコとの関係を強化し、トルコは軍の増派を決定し、実施し始めている。述べるまでもなく、イランはアラブ湾岸諸国にとって共通の脅威であり、カタールの動きはますます、許せなくなってきている。
そうした流れのなかで、カタールの隣国であるバハレーンが、カタールの軍事的動きに警告を発した。トルコとの軍事協力で、ますます増強しているというのだ。バハレーンにしてみれば、カタールは隣国であり、容易に攻め入ることが出来よう。
バハレーンの警告を受け、カタールはイランとの軍事協力も検討する、と言い出している。それが進めば、まさにアラブ湾岸諸国には悪夢であろう。戦争が起きなくとも、それは大きな圧力になるからだ。
トルコのエルドアン大統領は、こうした動きのなかで、カタール支持の立場を、一歩も引こうとしていない。カタールに支援物資を大量に送り、軍人も増派しているのだ。
さすがにこの緊張を見かねたのか、アメリカの下院議員がカタールへの武器輸出を、止めるべきだと言い出している。アメリカはカタールに、巨大な基地を持っているため、この問題を放置できないのだ。しかも、カタールはイランとの軍事的協力関係さえも、言い出しているのだ。
問題は、カタール側がわが国にとって、最大のガス供給国だ、という事実だ。もし、カタールがサウジアラビアなどと、武力衝突することになれば、一瞬にしてカタールからのガス供給は、止まることになる。
カタールのガス開発には、中部電力が最大の支援組織であったが、もし、中部電力へのガス供給が止まれば、トヨタの工場にも影響が出よう。カタールとサウジアラビアの間で起こっている問題は、日本にとって重要な問題であることを、考えておくべきであろう。