『サウジアラビアのムハンマド皇太子就任の意味』

2017年6月22日

 

 ムハンマド・ビン・ナーイフ殿下が皇太子の立場から離され、後継としてムハンマド・ビン・サルマン王子が、新しい皇太子に就任した。これは何を意味し、どのような新たな展開が、サウジアラビアと中東、そして世界に生まれるのであろうか。

 ムハンマド・ビン・サルマン王子が皇太子に就任することは、以前から言われており、別に特別驚くべきことではない。ムハンマド・ビン・ナーイフ王子は臨時の皇太子であったということは、周知に事実だった。

 多分、ムハンマド・ビン・ナーイフ王子が皇太子を務めている間に、ムハンマド・ビン・サルマン王子は皇太子から、国王になって行くための人脈づくり、外交経験などを積んでいたものとのもわれる。また、彼の31歳という若さが、時期をずらさせていたものともわれる。

 サウジアラビアの国王は812歳の高齢であり、もう国王職を務めるのは、肉体的につらかったのであろう。それで自分の息子を皇太子に立て、何時でも跡継ぎにできる状態を、創ったのであろう。

 サウジアラビアはこれで世代の若返りができ、それに伴って外交も新しいものに、していくことが出来よう。現在の70代から80代の王族のなかには、英語が不自由な人たちも多数いようが、3040代になると、英語を自由に話せる者が、多くなっている。

 従って、新皇太子の世代は通訳を介在させずに、欧米のトップと話し合える、ということであり、同時に、共通の認識と価値観を持って、話し合えるということになろう。

 その第一歩が、対イスラエル関係の促進であろう。これまでもサウジアラビアは水面下で、イスラエルと治安や軍事面で、協力してきていたが、これからはおおっぴらにできるような、システムを創って行こう。

 既に、アメリカのトランプ大統領は、サウジアラビア、エジプト、アラブ首長国連邦に、イスラエルと正式な協力関係を、構築させるつもりでおり、その流れのなかでは、パレスチナ問題も解決していく、という事であろう。

 もう一つの課題は、イランに対する対応だ。アメリカは相変わらず、イランが核兵器の開発をしており、テロを支援している、と考えており、その最大のターゲットはサウジアラビアということだ。そこで新皇太子誕生に合わせ、アメリカはサウジアラビア、エジプト、アラブ首長国連邦の連携に、イスラエルを加えてイラン対応を、進めていくということであろう。

 これからは軍事、政治、外交、経済、情報などの分野で、イスラエルを中心にエジプト、サウジアラビア、アラブ首長国連邦が連携していき、シリア対応、イエメン対応も、イラン対応に加えて、アメリカの意向に沿っていくことになろう。それが成功すれば、新しいアラブの時代を創る、という事になろう。