ロシアはシリア政府の依頼を受けて、シリアに軍を駐留させている。それ以外にも、地中海に浮かぶ艦艇からも、シリア軍支援の軍事行動を行っている。その甲斐あって、シリア国内のIS(ISIL)は相当力を落とし、今では各所でIS(ISIL)の敗走が、目立つようになった。
今ではIS(ISIL)が首都と宣言していたラッカすらも、IS(ISIL)は持ちこたえられなくなりつつある。アメリカはそのラッカに、猛攻をかける作戦に出ている。しかし、アメリカは自国軍によるのではなく、もっぱらSDFを戦わせて、漁夫の利を得る方針のようだ。
ロシア軍か空爆を続けて既に長いが、問題はアメリカがロシアの追い込んだIS(ISIL)を、支援する動きに出ていることだ。例えば、イラクのバグダッドからシリアのダマスカスに抜ける幹線道路を、シリアがほぼ押さえたものを、アメリカが空爆し、シリア軍の支配を許さないことだ。
アメリカによるIS(ISIL)に対する支援は、未だに続いており、ロシアはシリアでIS(ISIL)と戦うだけではなく、非常に難しいアメリカ軍の行動規制も、行わなければならない状態にある。
そうした苦しい選択肢のなかで起こった、シリア軍機のアメリカ軍機による撃墜は、ロシアの我慢の限界を破ったようだ。この撃墜事件後、ロシアはアメリカとのシリアにおける軍事協力を、止めると言い出しているのだ。
加えて、ロシアはシリア上空を飛ぶものは、全て撃墜するとも、言い出している。述べるまでもなく、ここで言われている、全ての上空を飛ぶもののなかいには、アメリカ軍機も含まれる、ということだ。
そうなると、シリア上空でロシア軍機とアメリカ軍機が、ドッグ・ファイトを行うこともありえよう。あるいは、ロシア側はもっぱら対空ミサイルで、アメリカ軍機を撃墜するかもしれない。
以前から一部の識者の間で、語られ始めている第三次世界大戦は、あるいは現実味を帯びてきているかも知れない、とさえ考えたくなる昨今だ。シリアは現状ではアメリカ軍とロシア軍が、真正面から対峙している場所、ということになる。
これ以外にも、アメリカとロシアが衝突しそうなのは、北朝鮮であろう。いままでは脅しで済んでいたのだが、北朝鮮で長期拘留されていた、アメリカ人学生が釈放されて帰国し、間も無く死亡する、という事態が発生した。アメリカの北朝鮮に対する怒りが、爆発するかもしれない。
ヨーロッパでもアメリカとロシアとの、緊張関係は発生している。世界の大国のリーダーたちに冷、静な行動を期待したいものだ、特にアメリカのトランプ大統領には、それを期待したい。