カタールに対するサウジアラビア、アラブ首長国連邦、バハレーンなどによる制裁が、パレスチナのガザにも影響を与えている。それはカタールとガザのハマースとの関係が、深いためだ。
これまで、ガザはハマースの統治の下で、エジプトなどからの政治亡命者を、受け入れてきていたし、今回のカタールからのムスリム同胞団の追放でも、ガザは彼らを受け入れている。カタールはその後もムスリム同胞団メンバーなどに、生活支援を送っているようだ。
しかし、カタールが周辺諸国から圧力を受けた結果、カタールもいまでは外貨不足となり、ガザに対するする支援金が、不足し始めている。カタールからの資金援助が不足すると、ガザへの電力供給はイスラエルからも、エジプトからも不足し始めた。
パレスチナ自治政府のマハムード・アッバース議長も、ハマースに対して、厳しい対応をしていることから、夏を控えたいま、ガザでは電力不測から、冷蔵庫もエアコンも止めざるを得ず、飲料水すらも不足する状態になっている。電機で動く浄水装置が作動しなくなり、飲料水も下水も処理できなく、なってきているのだ。
そこで、ハマースはエジプトに大型代表団を送り、エジプトの支援を求めようとした。その代表団のなかには、ガザの戦闘集団のイッザッデーン・カッサームも含まれていた。
しかし、エジプト側の対応は厳しいものだったようだ。エジプト側からはハマースの代表団に対応したのはハーリド・ファウジー准将で、彼はエジプトの情報局長を務めている人物だ。
エジプト側のハーリド・ファウジー准将がハマースの代表団に突きつけた条件は、以下のようなものだった。
:ガザに亡命中のムスリム同胞団員のエジプトへの引き渡し。
:ハマースとISのシナイにおける協力の中止と、全てのジハーデストや活動に関する情報の提供。
:シナイを経由する武器密輸の中止。
こうしたエジプト側の要求に、ハマースが応えなければ、エジプトは現在の40パーセントの電力カットを、全面的なカットにすると圧力を掛けている。そうなれば、ガザの今年の夏は、炎熱地獄になるだろうことは、誰にも予測できよう。
カタールはイスラム原理主義の各派に、支援を送っていたが、今回のサウジアラビアとの衝突で、支援を受ける各組織に影響が出たわけであり、ハマースもその例外ではなかったということだ。
一番苦しいのは、ガザの一般住民たちであろう。述べるまでもなく、ハマースも幹部の住宅や事務所で、電力使用を控えるとは思えない。弱者は誰の統治の下にあっても弱者であり、泣く立場にあるということだ。