カタールとサウジアラビアとの間で始まった対立が、次第に拡大し、エジプトやアラブ首長国連邦、バハレーンなどを巻き込み、それ以外の国もサウジアラビア支持に回っている。つまり、カタールとサウジアラビアとの間で始まった問題は、次第に国際化してきている、ということだ。
簡単に事の発端を説明すれば、アラブ湾岸諸国が統一して、イランに対抗しようとするなかで、イランの軍事力を恐れたのであろうか、カタールは抜け駆け的に、イラン接近に動き出したのだ。
それ以外にも、カタールとサウジアラビアとの間には、幾つかの問題があった。例えば、ワハビー派の本家をめぐる問題で、カタールは自国こそワハビー派の総本山である、と言い出したのだ。この問題に絡み、サウジアラビアのタミーム部族を、引き寄せるということも、カタールは行っていた。
カタールのアルジャズイーラ・テレビが、アラブの春革命のなかで、反政府派を支持して、偽の報道をしたことも、問題化しているし、それ以外にも、テロへの資金供与が、明るみに出てきてもいる。ただ、テロへの支援は、サウジアラビアも関与しているし、トルコも関与しているのだから、カタールだけを悪者にするわけには、いかないはずだ。
だが、いまとなっては、そうした問題を飛び越えて、カタール問題は大きな問題に、なりつつある。それはカタールが孤立するなかで、イランやトルコがカタールに、異常接近し始めていることだ。
サウジアラビアは陸路による、カタールへの物資輸送を、完全に止めたため、カタールのマーケットでは、品薄となり、多分価格も上昇しているはずだ。それはいま、カタールに食料を送っている国は、トルコでありイランだからだ。これらの国々は食料や水を、空輸しているのだ。
トルコはカタールに援軍5000人を、送ることを決定したが,場合によっては、イランも革命防衛隊を、カタールに送るかもしれない。もし、そういうことになれば、カタールにあるアメリカ軍の基地が、危険にさらされることになるわけであり、アメリカはこの問題を、放置できなくなろう。
カタールを舞台にして、イランの革命防衛隊とアメリカ軍が、衝突するような緊張状態になれば、アメリカは躊躇せずに、イランに攻撃を加えることになり、状況はどんどん拡大していくことになろう。
そうしたことも懸念されるためか、アメリカのトランプ大統領は、カタールを非難し、サウジアラビアと支援国を評価している。考えられることは、この問題に誰が火をつけたか、ということだ。考えられることは、サウジアラビアとカタールのいがみ合いが一つであり、もう一つは、アメリカの対イラン政策が考えられる。それが問題の根底にある、ということかもしれない。その流れの中では、カタール王家は潰される危険性もあろう。