イランの革命防衛隊は、イランのテヘランで起こった、議会とホメイニ廟に対する襲撃テロは、サウジアラビアによるものだったとして、サウジアラビア政府を非難した。しかし、その根拠は何も明らかにされていない。プロパガンダよろしく『全ての悪はアメリカとサウジアラビアという悪魔による仕業。』といったところのようだ。
もちろん、サウジアラビア政府はこのイランの、根拠のない非難に、反論している。サウジアラビアのジュベイル外相は、ベルリンで『リヤドはこのテロに関して、何も知らない。我々は何の根拠も示されていない。イランこそがテロのスポンサーだったではないか。』と語った。
加えて、イランが自国の立場、イエメンやシリアへの対応を変えるならば、サウジアラビアはイランとの、正常な関係を構築する用意がある、とも語っている。
今回のテヘランで起こったテロ事件では、女装したテロリストが、イランの議会ビルに入ったこと、一部に女性テロリストが混じっていたこと、などが報じられているが、殆どは闇のなかということであり、イラン側はどのようにでも、こじつけることが、可能なのであろう。
だが、IS(ISIL)はすでに犯行声明を出しており、そちらの可能性の方が強い、ということではないのか。もちろん、イラン国内の反政府勢力が、犯行を起こしたとも、考えられる。フーゼスタンのアラブ系住民、アゼル系住民、クルド系住民、バルーチ系住民と、多民族を抱えるイランには、反政府勢力は掃いて捨てるほど、いるからだ。
IS(ISIL)が犯行声明を出して間もなく、イラン政府はテロとIS(ISIL)との関連を否定していた。そのことを報じたのは、イラン以外では、イスラエルだけかもしれない。その裏には、イランがこの事件を活用しようとする、意図があったからかもしれない。
しかし、IS(ISIL)にはイランに対して、テロ攻撃をかけるに十分な、状況があるのだ。述べるまでもなく、イランは革命防衛隊やバシジをシリアにも、イラクにも送り込んでおり、彼らはアサドを支援して、IS(ISIL)に敵対しているし、イラクの体制支援も、しているからだ。
従って、時期が来たときには、イランを攻撃するという意思が、IS(ISIL)には十分に、あったものと思われる。いまの段階で言えることは、エジプトやシリア、イラク、リビアなどがこうむったような、イランもテロ災禍から、免れない状況になってきた、ということではないか。
そのテロ災禍は、第一に観光産業にダメージを与え、外国企業の進出に、ブレーキをかけることになろう。