カタールがアラブ6か国から、国交断絶のボイコットを受け、苦しい立場に立たされている。この国交断絶の結果、カタールに出入りする船舶、航空機が止まり、加えて陸上の交通も、遮断されている。
航空、海運は別として、カタールは大量の食糧を、サウジアラビアに依存しており、その割合は50パーセントと言われている。陸路を断たれたということは、カタールが兵糧攻めに、遭っているということだ。
カタールには周辺アラブ諸国や、トルコから送られる、生鮮食料品が毎日600から800台のトラックで、運び込まれているが、それらのトラックは、陸路はサウジアラビアとしか通じていないために、サウジアラビア経由となっていた。
もちろん、食料品だけではなく、飲料水もしかりなのだ。このため、カタールのスーパーでは食料品を、まとめ買いする客が、殺到しているそうだ。金満ガス産出国のカタールの庶民が、何やらかつての日本のオイル・ショック時に、似た状況に置かれている、という事であろう。
もちろん、この国交断絶措置には、銀行業務なども含まれており、今回、カタールとの外交断絶を決めた国の、幾つかの銀行はカタールの銀行との、取引を停止している。周辺諸国に旅行に行っているカタール国民は、14日以内に出国しなければならないし、外交官は48時間以内に、出国しなければならないことになった。
アラブ諸国と関係が断たれたカタールは、どのような状況にいまあるのか、と言えば、カタールはイランとは良好な関係を維持しており、イランは例外的に今回の状況を歓迎しているようだ。
イランはサウジアラビアが中心になって進めた、カタール・ボイコット作戦について『サウジアラビアの稚拙な外交の結果。』と批判し、『この動きはイランを狙って始められたものだ。』と評価している。
つまり、サウジアラビアはカタールをアラブ諸国と連帯して、ボイコットするという作戦で、実は対イラン包囲網を、構築しようとしているというのだ。多くのアラブ湾岸諸国は、サウジアラビアの傲慢な外交に、嫌気をさしているが、カタール以外にはそれに、真正面から対抗するだけの勇気を、持ち合わせていない、とも評している。
クウエイトもマレーシアも、サウジアラビアの立場に、嫌悪感を抱いている、とイランは評している。つまり、GCC(湾岸協力会議)は極めて脆弱な、存在だということだ。そのことは、GCCと対峙する関係にある、イランにとっては歓迎すべき事態、ということになろう。
今回の混乱の元は、サウジアラビアのタミーム部族などが、サウジ王家に反発して、カタールの王家に接近していることにもあるし、トルコ軍がカタールに600人常駐していることも、関係していよう。カタールはイランとの間でシリア対応をめぐり、問題はあるものの、ガス開発では協調しあっているのだ。