『どんどん出てくるクーデターへの疑問』

2017年5月30日

 

 トルコで昨年715日に起こった、クーデターには、幾つもの疑問符が、付いているようだ。軍幹部の裁判での証言などが、種々の問題点を洗い出してしているのだ。エヴリム将軍は『このクーデターは失敗するように、計画されたものだった。』と語っている。

 715日の14時の段階で、MIT(情報部)のフェダン・ハカン長官はクーデターの情報を、掴んでいたし、アカル参謀長にも5時にはクーデター計画が伝わっていたというのだ。しかし、エルドアン大統領がクーデター計画について知ったのは、彼の義理の弟からの、情報によるものだった。

 クーデター当日の夜の結婚式に参加した、海軍のボスタノール将軍は、ホテルまでドライバーに送らせると、帰宅を許している。後に彼は面倒なことに、ドライバーを関与させたくなかったからだ、と答えているそうだ。

 この結婚式は、1930分から始まるわけだが、そのことは、この1930分前の段階で、海軍の将軍はクーデター計画を、知っていたとしか、考えられない。そうでなければ、ドライバーを帰らせは、しなかったであろう。

 空軍の半分の司令官も、クーデターの起こる夜に、結婚式に参加しているが、彼らはその後、全員が逮捕されている。もし、これらの司令官たちが、クーデターに関与していたのであれば、結婚式には出ずに、クーデターの方に注力していたであろう。

 このクーデターには、幾つもの疑問符が付いている。軍は何故最大限の動員を、クーデターにかけなかったのか?何故彼らは警官を巻き込まなかったのか?何故クーデター未遂の後、非常に早い段階で、逮捕が始まったのか?

何故首相がクーデタ-について発言する前に、アンカラの検察トップはクーデターに関与した人たちの、調査を始めたのか?しかも、警察は一人も対象とされず、この段階では、軍人だけが対象になっているのか。

 何故議会のビルが攻撃されたのか?しかも、クーデターが未遂に終わった後で。この空爆で使われたF―6戦闘機は、クーデターとは別の目的で、空爆を実施させられたのであろう。

 空軍基地はクーデターの前に閉鎖されていた。つまり、空軍機を飛ばさない予定に、なっていたのであろう。そのことは、クーデターは未遂に終わるように、計画されていた、ということだ。

 野党第一党のCHP議員も、今回のクーデターは失敗するように、仕組まれていたと考えている。アユクト・エルドール議員はAKPが発表した、クーデター調査報告書に、疑問を投げかけている。

 彼はアカル参謀長や、フェダン・ハカンMIT(情報部)長官らが、何故クーデター計画を、大統領にも首相にも、伝えなかったのか、という疑問を提示している。そして、それにもかかわらず、なぜこの二人が現職に留まっているのか、についても疑問を投げかけている。